大阪府の高校生グループが中高生を対象に実施した「デートDV」をめぐる実態調査で、男子生徒の「被害者ぶり」が浮き彫りとなった。男子生徒が女子生徒に「暴力を受けた」割合は、立場が逆だった場合の2倍以上。交際相手に「暴言を嫌と言えない」男子生徒も、女子生徒より多かった。
「デートDV」とは、未婚の恋人間で起こる暴力やハラスメント行為の総称だ。DVは「男性によるもの」――そんなイメージが強かったためか、ネットでは「今までの常識がくつがえる」「今時の女子はコワイのぉ」と驚きの声が寄せられている。
「下着姿や裸の画像を求められると断れない」男子生徒が23%
調査は、生野区社会福祉協議会や生野区役所の調査に参加する高校生が2015年7〜11月、府内の中学校、高校に通う約1000人を対象に書面で実施。デートDVを「お金要求」「性的強要」「LINEチェック」「暴力」「暴言」の5種類に分け、経験の有無や「拒否できるか」を聞いた。
計105人の中学生(男子55人、女子50人)、計886人の高校生(男子300人、女子586人)に得た回答を性別で割り振った結果、女子生徒の2倍を超える男子生徒が交際相手から暴力を受けた経験があると分かった。
種類ごとに差はあるものの、「性的強要」以外すべて男子生徒が女子生徒を上回った。また、「暴言を嫌と言えない」男子生徒は30%なのに対し女子は21%、「下着姿や裸の画像を求められると断れない」高校生も男子生徒が23%で女子生徒が17%。デートDVを「拒否できない」男子生徒の姿が浮かび上がった。
マスコミ報道では主に男性による女性への暴力を「DV」と呼んできたが、今回の結果はそうしたイメージを大きく「裏切った」。
ツイッターでは、
「今までの常識がくつがえるわ」
「驚くべき結果です」
「今時の女子はコワイのぉ」
との声が出たほか、複数の女性ユーザーは「他人事じゃない」「気をつけないとな」とつぶやいている。
「女子は男子より『独占欲』強い」
意外とも言える結果の背景に何があるのか。調査に携わった兵庫県立大の竹内和雄准教授(環境人間学)はJ-CASTニュースの取材に、「女子生徒は男子生徒より『独占欲』が強い、と調査した高校生が指摘していました」と明かす。実際、「女子生徒が、自分以外の女性と交わしたメールを交際相手の携帯電話からすべて消去した」といった事例も見つかったようだ。
「中高生の場合、一般的なDVとはまた違った状況になるのかもしれません」
一方、「お金要求」「暴力」といった区分けがあいまい、とその調査方法に疑義を呈する向きもある。これに対しては「(回答した生徒は)『デートDV』であることを前提に答えているので、回答の多くは深刻なケースだと思います。ただ、その辺は『受け手側の問題』でもあるので、難しいところですね」と話す。
最後に、「調査結果をもとに開いた勉強会では、小学生から何かしらの教育が必要、との指摘も出ました。まさに子どもと大人が一緒に考えるべきテーマで、調査した生徒に重要な問題提起をしてもらったと思っています」と答えた。