中堅の出版取次業、太洋社(東京・千代田区)が自主廃業の準備に入ったと、企業情報の帝国データバンクなどが2016年2月5日に伝えた。8日にベルサール汐留で取引出版社向けに説明会を開催する予定。「事業の行く末を見据えると、いずれ自主廃業を想定せざるをえない」という。
2月末の資金繰りの手当は付いているものの、今後、不動産を中心とする重要資産の売却や売掛金の回収を徹底する。また、出版社向けの買掛金の支払いを確実にするために、取引書店の同意を得たうえで、別の取次業者への変更を要請していくとしている。
太洋社は1946年3月創業。書籍や雑誌、教科書などの取次販売を手がけ、「コミックの太洋社」という評価もあり、2005年6月期には年間売上高で約487億円を計上した。しかし、バブル崩壊後の需要減少や、インターネットや電子媒体の普及で得意先の中小書店への売り上げが大きく減り、15年6月期の売上高は171億円まで落ち込んでいた。