スマートフォンを歩きながら操作する「歩きスマホ」は、事故につながる危ない行動として社会問題になっているが、実は脳を活性化しており、高齢者の転倒予防などに役立つことを東北大学のチームが明らかにした。
研究成果を発表したのは同大病院肢体不自由リハビリテーション科の竹内直行講師らのグループ。英科学誌「ニューロサイエンス」(電子版)の2016年2月1日号に発表した。
年齢を問わず前頭部が活性化
竹内講師らは、「光トポグラフィ」という前頭部に光を当てて脳内の血流を測る装置を使い、高齢者と若者に「歩きスマホ」をしてもらい、脳の活動を調べた。その結果、次のことがわかった。
(1)「歩きスマホ」をすると、年齢を問わず前頭部が活性化する。
(2)若者は左脳で歩行を、右脳でスマホ操作を行ない、スムーズに「歩きスマホ」ができる。
(3)しかし、高齢者は脳が活性化しても、それが上手なスマホ操作や安全な歩行につながらず、転倒しやすい。
今回の研究で、「歩きスマホ」中に脳が活性化する仕組みが初めてわかり、今後、脳活動を利用した転倒予防機器の開発や、新しいリハビリ訓練方法の工夫につなげることができるという。