プロ野球やめたら「サラリーマン」が急上昇 若手選手の意識が変わった

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   プロ野球12球団の若手選手を対象に行ったアンケートで、引退後の進路に「一般企業の会社員」を挙げた選手が60%を超えて3位に急浮上した。2007年に調査を始めたが、これまでで最多。若手選手の意識に変化が生じているようだ。

   調査は日本野球機構(NPB)が行った「セカンドキャリアに関するアンケート」で、今回で9回目。2015年10月に宮崎県でのフェニックスリーグに参加した若手238人を対象に無記名で実施した。平均年齢は23.7歳で平均在籍年数3.5年、平均年俸は900万円だった。

  • コンスタントに活躍できるプロ野球選手は一握りにすぎない
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「野球指導者」に次いで3位

   調査結果によると、引退後に不安を感じている選手は前年から3.4ポイント増の72.7%に達した。その理由のトップは「収入」(45%)、次いで「進路」(44%)で、「やりがいの喪失」(9%)などを大きく上回った。

   引退後の進路を15の選択肢から選ぶ設問では、「高校野球の指導者」が72%で調査開始から9年連続のトップ、2位も2年連続で「大学・社会人野球指導者」(64%)だった。一方、過去7位が最高の「一般企業の会社員」が前年の48%から63%へと急増して3位入り。4位は「スカウト・スコアラー等」(59%)、さらに「プロ野球監督・コーチ」と「アカデミー・子供の指導者」が58%で同率5位だった。

   これまでは野球関連の進路が上位を独占してきただけに、「一般企業の会社員」の突然のベストスリー入りはNPBにとっても意外だったようで、「今後研修等の必要性が高いと考えられる。注意して見守りたい」との見解を出したほどだ。

先輩の「厳しい現実」見て「安定志向」

   では、なぜ、こんな結果が出たのか。

   プロ野球は高額の年俸や契約金、オフシーズンのテレビのバラエティー番組出演などから華やかなイメージが持たれるが、コンスタントに活躍できる選手は一握りにすぎない。戦力外通告を受けた選手を追ったテレビ番組などが時折伝えるように、選手は幼い頃から野球一筋の「野球バカ」も少なくなく、突然、ほかの業種・業界へと転出するのは難しいのが実情だ。

   NPBが実施した2014年度の引退選手130人の進路調査では、その7割がNPBスタッフのほか、独立リーグ(ベースボールチャレンジ=BC=リーグ)、社会人野球、外国プロ野球の選手など野球関連の仕事に就いている。ただ、経験や知識、知名度などが生かせ、活動が人目につきやすい野球解説者はわずか4人にとどまる。一方、進路未定・不明も22人いた。

   ただ、先輩たちの厳しい現実は以前から知られていること。進路の選択肢の上位に一般企業が突然浮上した直接の理由としては十分ではないようだ。

   既に、NPBの研修などでは野球界以外にも目を向けるよう指導が始まっている。野球界に残ったとしても1年契約などが多く、身分は不安定なまま。こうした現状を受け、最近の若手は「引退後の生活を身近なものとして考えるようになり、安定志向が芽生えてきた」(NPB関係者)そうだ。

   また、プロ野球選手をはじめとするプロスポーツ選手の再就職を企業に斡旋する事業も盛んになりつつあり、そうしたことが球界に浸透してきたことも、調査結果に影響している可能性がある。

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