先輩の「厳しい現実」見て「安定志向」
では、なぜ、こんな結果が出たのか。
プロ野球は高額の年俸や契約金、オフシーズンのテレビのバラエティー番組出演などから華やかなイメージが持たれるが、コンスタントに活躍できる選手は一握りにすぎない。戦力外通告を受けた選手を追ったテレビ番組などが時折伝えるように、選手は幼い頃から野球一筋の「野球バカ」も少なくなく、突然、ほかの業種・業界へと転出するのは難しいのが実情だ。
NPBが実施した2014年度の引退選手130人の進路調査では、その7割がNPBスタッフのほか、独立リーグ(ベースボールチャレンジ=BC=リーグ)、社会人野球、外国プロ野球の選手など野球関連の仕事に就いている。ただ、経験や知識、知名度などが生かせ、活動が人目につきやすい野球解説者はわずか4人にとどまる。一方、進路未定・不明も22人いた。
ただ、先輩たちの厳しい現実は以前から知られていること。進路の選択肢の上位に一般企業が突然浮上した直接の理由としては十分ではないようだ。
既に、NPBの研修などでは野球界以外にも目を向けるよう指導が始まっている。野球界に残ったとしても1年契約などが多く、身分は不安定なまま。こうした現状を受け、最近の若手は「引退後の生活を身近なものとして考えるようになり、安定志向が芽生えてきた」(NPB関係者)そうだ。
また、プロ野球選手をはじめとするプロスポーツ選手の再就職を企業に斡旋する事業も盛んになりつつあり、そうしたことが球界に浸透してきたことも、調査結果に影響している可能性がある。