ロレツが回らなくなったら救急車を呼ぼう
特に高齢者は、血管が硬くなって毛細血管が収縮しなくなり、寒い時でも熱を逃がさないシステムが働かなくなりがちだ。手を触るとポカポカしているのは、熱が手の表面から逃げているためだ。そのうえ手足が温かいので、本人は体の深部の体温低下に気づきにくい。厚着などの保温対策を怠っているうちにどんどん体が冷たくなっていく。
実は、凍死などの重大症状は屋外より室内の方が多い。2011年に日本救急医学会が発表した全国の低体温症による救急搬送事例報告では、屋内での発症者が屋外の3倍で、患者の平均年齢は71歳だった。屋内だと薄着になるので、冷たさの自覚がないまま体温低下が進行しやすい。また睡眠中に体温が下がるケースも多い。家族の目の前で突然、ブルブル震えて倒れる人も珍しくない。
米国立衛生研究所は、4項目の予防対策と同時に、「高齢者の低体温症の危険な兆候」として次の項目をあげ、「すぐ救急車を呼ぼう」と注意を喚起した。
(1)喋り方がいつもより遅い。
(2)ロレツが回らない。
(3)腕や足が震え、または硬直する。
(4)体を思うように動かせない。
(5)眠気・混乱・反応の鈍さ・脈の弱さなどがある。