【あさイチ】(NHK)2016年1月29日放送
「ご注意!第3の頭痛」
頭痛といえば、ズキンズキンと痛む「偏頭痛」、肩がパンパンに凝って痛む「緊張型頭痛」の2つが多いが、最近、「第3の頭痛」が急増している。「後頭(こうとう)神経痛」と呼ばれる聞き慣れない病気だ。
でも、「ビビッと電気が走る痛み」というと、「ああアレか!」と思いあたる人がいるのでは。
頭蓋骨の後ろのくぼみを押すと跳びあがるような痛み
番組の冒頭、リポーターの石井かおるアナが山梨県甲府市に飛んだ。後頭神経痛に悩む62歳の女性Mさん宅を訪ねる。Mさんは2015年9月、晩御飯の仕度中、突然、経験したことがない頭痛に襲われた。
Mさん「頭の中に何かができたような、重く締め付けられる痛みでした。片頭痛の薬を飲んでも効きません。毎晩痛むので医者に行きました」
Mさんを診察したのは、山梨県甲斐市の「ながせき頭痛クリニック」の永関慶重医師。MRI(磁気共鳴画像法)で検査したが異常はなかった。だが、永関医師が触診で頭蓋骨の後ろのくぼみを押すと、ズキンと跳びあがるような痛みが走った。「後頭神経痛」と診断された。永関医師が説明する。
「後頭神経痛は最近、非常に増えています。耳の後ろの毛の生え際部分に頭蓋骨のくぼみがありますが、そこを触ると、電気が走るというか、ビビッとするというか、ズキンとくる瞬間的な痛みが特徴です」
石井アナは、さらに詳しい説明を聞くため東海大医学部八王子病院の北川泰久医師を訪ねた。北川医師は、後頭神経痛の症例研究を発表している。北川医師は大きな分度器を石井アナの首に当てながらこう説明した。
「首を60度前に傾けた姿勢を5分間続けると、どの筋肉に影響を与えるか調べました。肩や背中の筋肉に変化はありませんが、首のここの部分(耳の後ろ)が硬くなります。大、小の後頭神経が走っているところです。ここが凝ると血の巡りが悪くなり、乳酸が溜まって神経を刺激して痛くなると考えられます」
5分間、前かがみの姿勢でスマホを見続けるだけでも悪い影響が出るのだ。
マッサージでも治らないとアノ怖い病気の心配が
石井アナ「実はMさんも、1週間前に携帯からスマホに買い替えて、使い方を覚えようと前かがみの姿勢を続けたのが悪かったのです」
MCの井ノ原快彦「具体的にはどんな痛みなんですか?」
石井アナ「ひじを硬い物にぶつけると、バンと電気がくる痛みがありますね」
井ノ原「あ~あ、アレね。あるかもしれないな」
石井アナ「頭の表面にビリッと来て、一瞬、血管が切れた!と思う人が多いみたいです」
井ノ原「薬が効かないとすると、何が効くの?」
石井アナ「マッサージが劇的に効くのです。Mさんも永関医師にマッサージを教わり、治しました」
ここで、永関医師が教える、自分でできるマッサージ方法がVTRで公開された。やり方はこうだ。
(1)耳の後ろの、髪の生え際あたりに頭蓋骨が入り込むところある。そこから縦に1本筋肉が下に伸びている。幅は親指1本分ほどだ。
(2)その筋肉を上から下へ、親指で1、2、3と押して乳酸を追い出していく。
(3)1回15分ずつ、朝、昼、晩行なうだけで効果がある。
石井アナ「スマホを見すぎる人は、痛くなる前にマッサージすると、予防効果がありますよ」
井ノ原「もし、マッサージをしても改善しない時はどうするの?」
石井アナ「その時は、スマホの見すぎが原因ではない、怖い病気が隠れている場合があります。脳梗塞やくも膜下出血などの命に関わる病気は頭痛がサインですから、ぜひ専門医に診てもらってください」
井ノ原「そうだね。どうせスマホのせいだろうと、甘くみてはいけないね」