パイロットの給与、ANAと「格差」も・・・
一方、航空需要の拡大で、航空会社のパイロット不足は世界的に深刻さが増している。格安航空(LCC)が増えたことが原因とされるが、2014年にLCCのピーチ・アビエーションやバニラ・エアが、パイロットが確保できずに大量の欠航に追い込まれたことは記憶に新しい。
そのため、パイロットのヘッドハンティングが横行。なかでも、大型機のライセンスと高い操縦技術を有するJALのパイロットは、経営破たんに伴う給与カットもあり、格好のターゲットになっていた。
JALは「パイロットの養成は一朝一夕ではありません。最低で4年、さらに経験を積み、一人前になる技能を身につけるにはかなりの時間と費用がかかります」と話す。育て上げたパイロットを引き抜かれることは、大きな損失というわけだ。
JALの給与引き上げは、「引き抜き阻止」の狙いもある。
そうした中で、他の航空会社もパイロットを確保しようと、給与の引き上げに動いている。
航空各社の有価証券報告書によると、たとえばスターフライヤーは2014年3月期に1062万円(94人、平均年齢40.7歳、平均勤続年数3.1年)だったパイロットの給与を、15年3月期には1162万円(90人、42.0歳、3.16年)にアップ。スカイネットアジア航空は、1066万円(99人、43.6歳、5.3年)から、1206万円(98人、43.2歳、5.4年)に約200万円もアップした。
スカイマークは、14年3月期の884万円(207人、44.5歳、2.1年)が751万円(206人、42.5歳、2.8年)に減ったが、これは同社が2015年1月に経営破たんしたためだ。
最も平均年収が高い、ANAのパイロットは2000万円前後とされる。ANAとは約2倍の差があるが、そもそもパイロットがいなければ、ピーチやバニラ・エアの二の舞になりかねない。人材確保のためには給与アップもやむを得ないというわけだ。