格安航空が増え、パイロットのヘッドハンティングが横行 「引き抜き阻止」もあり、JALが給与を大幅引き上げ

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   日本航空(JAL)が2016年4月から、パイロットの給与を大幅に引き上げる。

   JALは2010年の経営破たんで、社員の給与を大幅にカット。その後、業績の回復に伴い、11年1月と14年6月の2度にわたってパイロットの給与をアップ。その結果、パイロットの平均年収は1636万円にまで回復している。

  • JAL、パイロットの年収「100万~200万円」の大幅アップで「引き抜き阻止」・・・
    JAL、パイロットの年収「100万~200万円」の大幅アップで「引き抜き阻止」・・・
  • JAL、パイロットの年収「100万~200万円」の大幅アップで「引き抜き阻止」・・・

固定給で年間100万~200万円アップ!

   パイロットの給与引き上げについて、JALは「給与には個人差があります」としたうえで、「固定給で年間100万~200万円、引き上げます」と明かす。現在、労働組合と交渉中という。

   JALの2015年3月期の有価証券報告書によると、1839人のパイロット(運航乗務員)の平均年収は1636万円(平均年齢43.6歳、平均勤続年数19.5年)。前期と比べて、98.1万円(386人増)増えた。2年連続の引き上げとなる。

   さらに、乗務手当などの勤務状況に応じた手当も一部見直す予定。あわせて、客室乗務員の給与も賃上げを検討している。

   JALは給与アップの理由を、「好調なインバウンド需要もあって、航空需要が大きく上向いていることから、中長期的な観点でしっかりとした運航を行っていくため、また(パイロットの)モチベーションを高めるためにも(引き上げが)必要と判断しました」と説明している。

   2012年に東証1部に再上場したとはいえ、経営再建中からライバルの全日本空輸(ANA)との「給与格差」は開くばかり。加えて、JALは深夜・早朝便に搭乗する場合を除いて、ハイヤーによるパイロットの送迎をやめているほか、渡航先で滞在するホテルのグレードを下げるなど、待遇面でも「経費削減」を徹底したことで、パイロットからは不満の声が漏れていた。

   その差を少しでも埋めようというわけだ。

   とはいえ、ANAのパイロットの年収と比べると、「まだ、数百万円からの開きがあります」とも話す。

   厚生労働省の2014年度の賃金構造基本統計調査によると、パイロットの平均年収は平均年齢43.1歳(平均勤続年数16.7年)で1712万円(月額給与127万円、年間賞与185万円)。最も年収が高い、経験豊富(45~49歳)なパイロットは2215万円にのぼる。

   JALのパイロットの年収は、今回の引き上げで、どうにかこの水準を上回ることができそう。

   JALにとっては投資や路線計画、発着枠配分などの際の制約が、17年3月末で切れる。現在の好業績を維持し、ANAを追撃するうえでも、優秀なパイロットを確保しておきたいところだ。

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