迷惑メールに記載されたURLから偽サイトに誘導され、誤って個人情報などを入力してしまう「フィッシング詐欺」の手口が巧妙化している。
共通するのは、一見興味を引く内容がメールの本文に記載されているという点だ。その内容は、「支援・援助委員会」を名乗って生活支援を必要としている人の注意を引いたり、「給水停止のお知らせ」といったライフラインの停止をほのめかしたりするなど、弱者の弱みに付け込んでいる。まだ、具体的な被害は報告されていないようだが、誤ってアクセスすると個人情報などが漏洩する危険性が高まっている
東京都水道局「メールは削除してください」
2016年2月2日には、水道に関する注意喚起が相次いだ。東京都水道局は公式のツイッターアカウントで、利用者に「給水停止のお知らせ」という偽メールが届いているとして注意を呼びかけた。ツイートでは、
「水道局では、メールで水道を止めるご連絡をすることはありません。リンクされたURLはクリックせず、メールは削除してください!」
と訴えた。
神奈川県の藤沢水道営業所も、ウェブサイトで「水道料金のお知らせです。」「特別対象者メールです。」といったメールに注意するように呼びかけた。迷惑メールでは、URLをクリックすると水道料金が見られるかのような文言になっているとみられ、注意喚起の文章では
「県営水道では、メールで『水道料金のお知らせ』を送付することはありません」
と念を押している。
アマゾンジャパンからのメールは「コロンビア」発
政府機関を名乗る迷惑メールもある。政府広報をまとめたウェブサイト「政府広報オンライン」に掲載された注意喚起の文章によると、不審なメールは同サイトを名乗って「支援・援助金委員会からお知らせ」というタイトルで送信され、
「個人間の生活支援:文部科学省」
「困ったあなたを助けます~生活福祉資金貸付制度」
「開始までの間の生活費を支援する『臨時特例つなぎ資金貸付』」
といったコラム仕立ての見出しもある。そのすぐ下にURLがあり、支援を必要としている人のクリックを誘っているわけだ。
このほか、2月1日には関係企業でつくる「フィッシング対策協議会」が、大手通販サイトのアマゾンジャパンを名乗って注文していない商品の注文確認をする内容の偽のメールについて注意喚起したばかりだ。「http://www.am●●.co/」という、コロンビアのドメイン「.co」に転送されるようになっているのが特徴。本当のアマゾンジャパンは最後に「.jp」「.com」が付いている。アマゾンのホームページでは、送られてきたメールと自分のアマゾンの「利用履歴」のページを比較することで、偽のメールの見分け方を案内している。