「税収の上振れ」の使い道でずれる官邸と財務省 株価大幅下落で「前提」も揺らいできた

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「税収の上振れは安定財源ではない」

   諮問会議での議論は、首相の新しい旗印である「1億総活躍」のための財源確保が主眼だ。首相は21日の会議で、1億総活躍の実現のために安定的な財源確保が必要を指摘したうえで、「アベノミクスの成果の活用をどう考えていくか議論してもらい、明確な方針を盛り込んでいただきたい」と述べた。「成果」とは、ズバリ、税収の増加だ。

   第2次安倍内閣発足後、税収は毎年想定より増えており、国と地方を合わせた税収は21兆円増えている。2014年の消費税率の5%から8%へのアップによる増収6.3兆円を除いた国の増収分だけで8兆円に達する。首相は、こうした税収増を基に、2017年度予算には1億総活躍を中心に新たな施策を打ち出す考えとされる。

   ただ、財政状況が厳しい中で、野放図に使うわけにはいかないのは、首相も承知しており、「経済財政再建計画の枠内」との考えを示した。一般歳出の伸びを2016年度から3年間で1兆6000億円を目安に抑えるというものだ。首相は、これは守りつつ、税収が増えた分の一部を「別枠」として新規施策に充てるとの見方が強く、こうした「別枠」活用の手法は、従来から予算編成のテクニックとして駆使されてきた。軽減税率で不足する財源も、税収増加分を充てることが検討されるというわけだ。

   「税収増は安定財源ではない」という正論に対して、首相サイドからは「税収上振れ」ならぬ「税収底上げ」なる議論も出てきた。甘利明経済財政担当相は、日本経済の足腰が強くなり、毎年の税収見積もりが底上げされたと判断できる分を、景気変動による増減の「上振れ」と区別するとの論を提唱し、諮問会議で議論する方針を示している。

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