握力の強い人ほど長生きで、心臓病や脳卒中になるリスクが小さいことが、世界17か国の約14万人の大規模な調査でわかった。
手で握る力を測るだけという非常に単純な方法だから、あなたも試してはいかが。
握力が5キロ低くなるごとに死亡率が16%高まる
調査を行なったのは、カナダ・マクマスター大学のダリル・レオン教授らのチーム。2015年5月の米医学誌「ランセット」に発表した。対象に選んだ国は、カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦、ブラジル、中国、マレーシア、バングラデシュ、イラン、ジンバブエ、南アフリカなど、高所得国から低所得国まで地域もまちまちな17か国。35~70歳の約14万人の握力を左右それぞれ3回測定し、左右の最大値の平均を基準に分析した。
対象者の疾病状態、体格や血圧、食生活、運動習慣、喫煙の有無などを調べ、4年間追跡調査した。4年の間に3379人(全体の2%)が死亡、うち2677人(全死者の79%)の死因がわかった。また、生きている人の疾病状態も調べた。
その結果、死亡や脳卒中、心筋梗塞などの心血管疾患は握力が弱い人ほど多く発生していた。全死亡リスクは、握力が5キロ弱くなるごとに16%ずつ高まった。特に心血管疾患による死亡リスクは、17%ずつ高まったという。しかし、がんとの関係は、国の所得の差が大きく影響するため関連づけられなかった。
握力が強いとなぜ死亡リスクが下がるのか、研究チームでは理由を明らかにしていない。
実は、同じ調査は日本にもある。2012年、厚生労働省研究班が福岡県の住民を対象に行なった「握力の強さと脳卒中の関係」調査を発表した。40歳代以上の男女2527人を握力の強さに応じて4つのグループに分けて、20年間追跡調査したのだ。