メンバーの分裂・解散騒動のドタバタ劇で、SMAPの広告価値が下がり始めたようだ。
今回の騒動を受けて、宣伝会議「Adver Times」編集部が、企業の宣伝部などの広告主(スポンサー)と企業に広告企画などを提案する広告会社に対して、「広告におけるタレント起用」のアンケート調査を実施(回答数は392)。2016年1月25日、その結果を明らかにした。
「事務所が会見を開いて説明・謝罪していない」
調査では、一連の分裂・解散騒動を受けて、「SMAPの広告タレントとしての価値をどう考えているか」聞いたところ、「低くなった」と回答した人が、「やや低くなった」(28.1%)と答えた人をあわせて62.8%にものぼった。
「高まった」と回答した人は14.8%(「やや高まった7.4%」を含む)、「変わらない」と回答した人は22.4%だった。
価値が下がった理由について、広告主からは、
「タレントは、あくまで夢を売る商売。それをテレビで公開謝罪させ、悲壮感を漂わせては、タレントイメージが悪くなり、広告に起用しにくくなる」(女性、40代前半)
「解散騒動で事務所という存在が巨大なものとしてイメージ化され、そのインパクトがネガティブにとらえられている」(男性、30代後半)
といった声が寄せられ、広告会社からは、
「解散の可能性があるタレント、グループとわかったので起用は不安だと思います。もし契約したとしたら、契約期間中ずっと爆弾を抱えているのですから」(女性、30代後半)
などの声があり、ネガティブな印象をぬぐえないでいるようすがうかがえる。
一方、少数ながら価値が高まったと考える理由には、
「国民的アイドルという認識が広まり、決定的となり、他のタレントとの違いが鮮明になった。関係を修復できれば、今まで以上の広告価値が得られる」(女性、40代後半)
との声が寄せられた。
また、騒動による反響の大きさからSMAPの価値の高さに改めて気づいたという声や、困難な状況に置かれたSMAPを支援することで、企業イメージが向上するのではないかという声もあった。
とはいえ、広告主の51.4%、広告会社の47%が「起用したくない」と答えており、その理由の中には、「所属事務所がきちんと会見を開いて、世間に説明・謝罪していない」との声もあった。所属事務所の他のタレントの広告起用にも、広告主と広告会社の約半数が「影響がある」と答えた。SMAPのみならず、ジャニーズ事務所のイメージも低下しているとみられる。
こうした調査結果に、企業アナリストの大関暁夫氏は、「企業は(SMAPに)高いお金を払って起用しているのですから、イメージダウンにつながるリスクは低いほうがいい。分裂、解散しないことを事務所はまだ明言していませんし、リスクは高いままです。(広告価値が下がっているのは)当然の流れでしょう」と話している。
すでに昨年からCM起用の上位から消えていた
そうしたなか、SMAPのメンバーが出演しているテレビCMは、すでに昨年から減ってきていたようだ。
メディアの調査・分析するニホンモニターの「2015年上半期タレントCM起用社数ランキング」(2015年1~6月のCM出稿状況)によると、男性タレントの上位は同じジャニーズ事務所の「嵐」のメンバーの独壇場といっていいほどで、相葉雅紀さん、櫻井翔さんが元プロテニスプレイヤーの松岡修造さんとともに10社で1位。大野智さん、二宮和也さん(いずれも9社)、松本潤さん(8社)のメンバー全員がトップ10にランクインしている。
一方、SMAPは、RIZAPやアサヒビールなどのCMに出演した香取慎吾さんと、エイブルや日清食品などの中居正広さんの6社が最多だった。2014年(1~11月)時点では、サントリー食品インターナショナルやタマホーム、トヨタ自動車など9社のCMに出演していた木村拓哉さんの名前は、15年上期では上位から消えていた。
さらに2015年(1~11月)のデータをみると、「嵐」の勢いが止まらないなか、SMAPのメンバーの名前は、すべて上位から消えてしまっていた。
前出の大関氏は、「CMで大切な好感度には、たとえばフレッシュさ、躍動感、若々しさなどの要素があります。こうした点でSMAPは、今回の騒動がなかったとしても、年齢的にそろそろどうか、と。そうであれば、『本物がわかる』とか、『決断力』とか、別の要素でイメージをつくり変えていかなければならない時期といえます。それができないとなると、広告価値はますます下がると思います」とみている。
そして、メンバーの不仲説が拡散していることも、「少なくとも、グループでは起用しづらいですよね」とみる。
CMへの新たな起用は難しいかもしれない。