シャープ「再建策」は本当にまとまるのか 「利害錯綜」で報道も乱れ飛ぶ

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2016年3月末には5000億円の借金返済

   一方、銀行側は液晶技術を国内に残すことには理解を示す声が多いものの、貸し出し債権の確保を図りたいのが本音。2015年5月に、返済が必要な借金を優先株に切り替える金融支援を行ったが、今回、振り替えた優先株の無償譲渡を求められており、実質的には債権放棄ということになる。さらに、これ以外に1500億円の融資を優先株に振り替えることも求められており、合わせると3500億円規模の金融支援を行うことになる。

   1年に満たない短期間で2度目の金融支援は受け入れがたいというのが銀行本来の立場だ。鴻海の買収案と機構案と、どちらが有利か、近く判断する見通しだが、1月22日付けの「日経」朝刊は「シャープ再建大筋合意」と1面トップで報じ、銀行も支援を受け入れたとする一方、同日付けの「朝日」などは「主力行の判断が焦点となる」など、銀行が意思決定には至っていないとの見方を示している。こうした各紙の報道ぶりは、水面下の激しい綱引きをうかがわせるが、銀行としても、安易な金融支援を行い、多額の損失を被ることになれば、銀行自身が株主から経営責任を問われかねないという事情もあるだけに、慎重になるのは当然だ。

   話を整理すると、シャープの再建策を具体化する上では、(1)機構などが出資する場合、分社化した液晶事業に出資するのか、シャープ本体に出資するか(2)主要取引銀行にどこまで金融支援を求めるか(3)液晶事業を分社化した後、家電や複写機などシャープに残る事業をどうするか......など詰めるべき課題は、まだ多い。

   シャープは2015年4~12月期の決算発表を行う2月上旬までに再建策をまとめたい意向だが、「それには時間が足りない」と指摘する関係者は少なくない。さらに、3月末には約5000億円の借金の返済期限が迫っている。

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