外海にいれば助かったのに・・・
ところが、沖縄気象台は寒さで魚が砂浜に打ち上げられることは「水温が下がればあることで、宮古島でも珍しくない」という。沖縄県本部町にある美ら海水族館も「毎年ではありませんが、今回が初めてではありません」と話す。
美ら海水族館に詳しく話を聞くと、「気温が下がり、そのために水温が下がったことで仮死状態に陥るのは確かですが、それだけではありません」という。どうやら「条件」が整わなければ、砂浜に打ち上げられることはないようなのだ。
寒さで仮死状態になる魚の多くは、浅瀬のサンゴ礁周辺に生息する魚で、スズメダイや小さいウツボなどがいる。スズメダイは低水温でも8度程度までは耐えられるとされるが、2016年1月24日は最高気温が10度に届かなかったほどの異常な寒さだった。
沖縄の海の水温は冬場でも20度程度はある。水族館の飼育担当者は、「基本的に、外海では気温が下がったからといって、水温が下がるというものではありません。(仮死状態の魚は)おそらく、ふだんサンゴ礁の中に生息している魚が、干潮時にできた潮溜まりに入り込み、水温の低下にさらされて身動きできなくなったことが推察できます」と説明する。
この日の潮溜まりの水温は、夜間に5度以下まで下がったとしても不思議ではない。浅瀬にいた魚が潮溜まりに入り込み、そのまま逃げられなくなって仮死状態となり、砂浜に流されてきたということのようだ。