グループの「GU」との客の争奪戦
「ユニクロの魅力が薄れた」との声もある。ユニクロ商品の代名詞ともいえる「フリース」や「ヒートテック」「エアリズム」などの高機能商品が出そろい、最近はそれらをマイナーチェンジした商品アイテムが陳列棚を埋め尽くしている。過度に高機能になった商品が出回った結果、価格は上昇。商品価値と価格のバランスが崩れてきているとの指摘もある。
お客としてみれば、「下着の値段じゃない」「ユニクロで高い値段を出すなら、もっといい服がいっぱいある」という気持ちが働いてもおかしくないだろう。同業他社でも、「機能性の高い、安価な商品」が発売され、お客が流れているとの見方もある。
一方で、同じグループ内でも、グローバルブランドの格安カジュアル「GU」は、第1四半期が計画を上回る大幅な増収増益となった。ワイドパンツやボリュームセーター、ニットボトムスといったキャンペーン商品の販売が好調で、既存店売上高は2ケタの増収だ。
GUは国内に319か店(15年8月末)を出店。「GU」に足を運ぶと、最近はかつてのユニクロを思わせるような格安な商品が目につく。品質と価格を上げてブランド化が進むユニクロとは対照的に、これまでユニクロが担っていた「安くて、品質のよい商品」をGUが提供するようになってきたようだ。ユニクロと「GU」とで、お客の奪い合いが起っているとみる向きも多い。
こうした状況に、ファーストリテイリングは「そもそも、ユニクロとGUとではコンセプトが違います」という。「GUのコンセプトは、『トレンド』をつかんで届けることです。デザインも、かわいい服を考えています。一方、ユニクロは『ライフウェア』がコンセプト。トレンドを追っているわけではありません」と説明。両者の「同質化」を一蹴する。