2015年のプラチナ地金の年間販売量が前年の約3.6倍の1万6732キログラムとなり、過去最高を記録した。田中貴金属工業が2016年1月20日に発表した。これまでの最高だった、リーマン・ショックが起きた2008年の1万3596キログラムを大きく上回った。15年の販売量は値ごろ感を背景に増加。下期(7~12月)だけで年間販売量の約75%を占める1万2533キログラムを販売した。
一方、買取量は前年比44.4%減の2305キログラムと半分近く落ち込んだ。前年の平均価格よりも値下がりしたことから、様子見の傾向がうかがえた。
好調な販売の背景には、2013年4月以来2度目となるプラチナと金の価格の逆転現象がある。プラチナ地金の15年の国内価格の平均は1グラムあたり4205円で、前年の年間平均価格の4759円を550円も下回った。
2015年のプラチナの国内価格は、ディーゼル車需要の高い欧州の景気先行き不透明感が強まったことで1月19日には1年9か月ぶりに金価格を下回り、その後も緩やかに値を下げた。これに、中国経済の減速や9月以降の独フォルクスワーゲンのディーゼル車排ガス不正問題の発覚、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測で、さらに値を下げ続け、12月14日には2015年の最安値となる1グラムあたり3367円を記録した。