米国では芸能人の労働組合が活発
エンターテインメントの聖地・米国では芸能人の労働組合が活発だ。1933年設立の映画俳優組合(SAG、現在SAG-AFTRA)は、約16万人の組合員を抱える巨大組合として存在感を示している。対する日本には、俳優の西田敏行さんが理事長を務める協同組合「日本俳優連合」(会員約2500人)があるが、現状、芸能界に大きな変革をもたらす存在とはなり得ていない。
そもそも日本と米国とでは芸能事務所の仕組みが大きく異なる。「芸能人はなぜ干されるのか?芸能界独占禁止法違反」(鹿砦社)の著者でフリーライターの星野陽平氏は米国の事情についてこう解説する。
「日本は芸能事務所がタレントのすべてを管理していますが、米国では、みな養成学校に自腹で通い、出演交渉や金銭交渉を行ってくれる『エージェント』に履歴書を送って個人契約を結ぶんです。エージェントは法律であっせん手数料しか取ってはいけないことになっているので、スクール運営やマネジメント業務はできない。そのため俳優たちはマネジャーをつける場合、マネジメントカンパニーに依頼するなどして別途契約することになる」
日本の芸能人が事務所に所属する「会社員」的存在ならば、米国の俳優らはエージェントと対等に仕事をする「個人事業主」というわけだ。
では、事務所支配体制の日本においても、米国のような強い労働組合ができる可能性はあるのだろうか。