解散騒ぎで揺れたSMAPが2016年1月18日、5人そろってフジテレビ系「SMAP×SMAP(スマスマ)」に生出演、謝罪の言葉を述べたが、グループリーダーの中居正広さん(43)が端っこに追いやられたばかりが、心の葛藤を抑えるかのように自分の左手で右手をつねったりするしぐさがインターネット上で話題になった。
中居さんのこうした動作には、どんな気持ちが潜んでいたのか。心理学の専門家が分析した。
「顔はウソをつきますが、手はウソをつけません」
中居さんは、会見の4番目で挨拶をしたが、自分の番が近づくにつれ、指先が震えるように見え、左手で右手を押さえた。そしてギュッと左手で右手をつねったまま、こう謝って頭を下げた。
「本当に申し訳ありませんでした」
その後もメンバーの中で、ただひとり最後まで両手を固く握ったままだった。
ネット上ではこんな声が相次いだ。
「中居君、きっと何かに耐えている気がするな~。うつにでもなっちゃいそう」
「中居君が、やつれた手をつねっているよ。どうした!『SMAPリーダー中居』」
「居合切りの手を抑えるため、左手が上で敵意はないことを示しますよね。中居君なら(剣のこと)知っていると思います」
この手のしぐさに、中居さんはどんな感情をこめていたのだろう。「『しぐさ』を見れば心の9割がわかる」など多くの心理学の著作がある渋谷昌三・目白大学教授に聞いた。
「顔はウソをつきますが、手はウソをつけません。中居君は、『スミマセンでした』と頭を下げましたが、不本意だったのは明らか。心の中では謝ってはいませんね」
中居さんが自分の喋る番が近づくにつれ、左手を右手に置いて手を握り合ったのは、これから「ウソの謝罪」をしなくてはならないという動揺で手が震えていた可能性がある。
人の顔には計37の表情筋があり、慣れればどんな表情でも作ることができる。中居さんほど演技が達者な人なら謝罪の表情など朝飯前だ。ところが、指先はごまかせない。心理学者は相手の話が本当かどうか、突きとめたい時は表情を見ないで顔から下、特に手先を見るという。
ダグラス・グラマン事件の時に、贈賄側の日商岩井副社長・海部八郎氏が証人喚問で国会に呼ばれたが、宣誓書に署名する時に手がブルブル震えて書くことができなかった。ウソをつくと動揺の気持ちが指先に表れるのだという。
だから、話す時に手をポケットの中に入れたり、後ろ手に組んだりして隠す相手には注意した方がいいという。
手をつねるのは「自傷行為」、葛藤はそれほど大きかった
もう1つ、切ない理由が考えられるそうだ。緊張と不安のあまり、「お母さん、助けて!」とすがる心理が働いたのかもしれない。自分で自分の手や体をさわる行為を「自己親密行動」という。幼児が不安な気持ちの時に母親に手を握ってもらったり、抱いてもらったりすると安心するのと同じだ。そばに母親がいないから、自分で自分の手を握って慰めているわけだ。
「中居君は、もしお母さんがそばにいたら、きっと手を握りたかったでしょうね」と、渋谷教授は推測する。
ところで、自分の手をつねっていたのはどんな気持ちからだろうか。渋谷教授はこう説明した。
「手をつねったり、指を噛んだりすることは、広い意味でリストカットなどと同様の自傷行為にあたります。ものすごいストレスを感じていたのでしょう」
いずれにしろ、中居さんの葛藤はそれほど大きかったのだ。
ニュースでSMAPの会見を見た渋谷教授は、最後にこうアドバイスをした。
「5人とも立派な顔立ちの人気者ばかりです。思わず彼らの表情に見入って騙されてしまいますが、誰がどんな気持ちで喋っているか、その本心を知りたかったら、目をつむって彼らの話を聴くことをおススメします」
本心は、指先だけではなく、声の微妙な震えにも出るからだ。