「倫理的な是非についてはもう少し議論していかなければならない」
しかし、法律上は問題なかったとしても、倫理的な観点から疑問視する人は多い。ネット上では、大学生たちの写真の入手先がSNSだと分かるやいなや、違和感を指摘する声や批判的な意見が数多く上がった。
「死んだらFacebookの写真はフリー素材になる」「最近のマスコミは被害者顔写真をカジュアルにFacebookからパクってくる」といった皮肉も少なくなく、「死後情報公開意思表明カード」が必要になるとの提案も飛び出した。
元新聞記者で法政大学准教授の藤代裕之氏は17日、Yahoo!ニュース個人に寄せた記事の中で、「個人が身近に使っているソーシャルメディアの写真を死後に『勝手に』使われる気味悪さ」を指摘。その上で、
「現状のルールでは『引用』の範囲内だとしても、社会的に課題があるとすればマスメディアは扱い方を検討すべきですし、社会的な制度としても議論されるべきです」
と主張した。
ジャーナリストの佐々木俊尚氏も17日、自身のFacebookで「このようなかたちでSNSから被害者顔写真を転載することへの倫理的な是非についてはもう少し議論していかなければならないんじゃないかな」とコメント。さらに記者側の観点として、
「『ガンクビとり』(編集部注:記者が加害者や被害者の顔写真を家族・知人から入手することを表す業界用語)という苦痛と悔悟をともなう行いが、Fbからの転載という机上の非常に簡単な作業に変わることによる『安易さ』が記者の側の当事者意識に何をもたらすのか、という視点も必要」
と述べた。