規約クリアしたとしても「複製権」の問題
ではもし仮に、利用規約をクリアしていたら――。結論から言うと、この場合でも、ごく限られた方法でしか流すことはできなさそうだ。
著作権者と著作隣接権者には、著作物を無断でコピーされない権利=「複製権」がある。そして著作権法上、権利者の許可なしに複製することは「私的使用」の場合を除いて禁じられている。
たとえば、披露宴のためにお気に入りの楽曲を集めてCD-ROM等でオリジナルCDを製作するケースや、披露宴用のプロフィール映像としてBGM付きのビデオを製作するケースは複製権に関する手続きが必要になる。
同じ理由から、ダウンロード音源をメモリーカードやCD-ROMなどに保存して披露宴で流す行為は無断で行うと複製権の侵害に当たる。
法的には携帯電話やパソコンなどの端末に音楽データをダウンロードすることも「複製」にあたるが、文化庁著作権課に聞いたところ「明確なルールがないので解釈の話になると思うが、一般的にこの段階では複製権に触れるものとはみなされないのでは」という。
仮にそうだとすると理屈上は、ダウンロードした端末を会場のスピーカーに直接つなげて再生する場合のみ「複製権」は侵害していないことになる。もちろんこの場合も、演奏権の許諾があり、利用規約をクリアしていることが条件だ。そもそもダウンロード時点で複製権に触れるとみなしている団体もあるため、この手段も一概にOKとは言えない。
新郎新婦にとっては「CDと同じで正規ルートで購入しているのに...」とどこか納得できない思いがあるかもしれないが、こうした理由から現実的な話ではないようだ。結婚式場では「ダウンロード音源NG」をサイト上でアナウンスしているところも多い。