イヌやネコが受動喫煙に苦しんでいる 発がん物質130倍でも外に逃げられない

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   喫煙はペットにも悪いという研究を英グラスゴー大の獣医学者たちがまとめ、2015年12月29日発表した。

   飼い主のタバコの煙にさらされたイヌやネコたちは、がんや細胞損傷、さらに体重増加や血糖値上昇などのメタボリックシンドロームに苦しんでいるという。

  • あなたのワンコは、煙に苦しんでいますよ
    あなたのワンコは、煙に苦しんでいますよ
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毛をなめるネコは、イヌより健康被害がひどい

   研究を発表したのは、同大のクレア・ノッテンベルト教授らのグループ。同大付属動物病院で長年ペットを診察したデータを分析、飼い主の喫煙とペットの病気発症の関連をまとめ、2016年中に本にする。

   副流煙による受動喫煙の悪影響は、タバコを直接口から吸う主流煙に比べ、フィルターで保護されていないため、ニコチンが約3倍、アンモニアが約50倍、一酸化炭素が約5倍、発がん物質が種類によって約2~130倍といわれる。これをイヌやネコは、部屋の外に逃げることができずに吸い込んでしまう。

   研究によると、飼い主の喫煙本数が1日10本以下の場合、ネコの血液中のニコチンレベルは大幅に減少するが、それでも非喫煙家庭のネコに比べると明らかに高かった。受動喫煙の健康被害はイヌよりネコの方がひどい。その理由について、ノッテンベルト教授は「ネコは自分の体をなめて毛づくろいするので、その時に体に付着した有害成分を取り込んでしまう」と説明する。

   一方、去勢手術したイヌの睾丸を検査すると、細胞損傷の指標となる遺伝子が喫煙家庭のイヌは高く、去勢後の体重増加も多かった。同教授は「私たちは、喫煙がペットの健康にも影響を与えることを心配しています。部屋の外で吸うのもいいですが、やはりベストな選択はやめることです」と語っている。

チワワやパグなど小型犬ほどがんになりやすい

   ペットの受動喫煙被害については、1998年に米コロラド大がイヌのがん調査を発表するなど、いくつか研究がある。それらによると、飼い主が喫煙者だと非喫煙者に比べ、イヌのがん発症率は約1.6倍になる。特に肺がんは、もともとイヌでは極めて稀で、年に2万5000匹中1匹しか発症しないのだが、喫煙者に飼われたイヌでは全がんの60%も占めた。

   チワワやミニチュアダックスなどの体高の低いイヌほどがんになりやすいこともわかっている。副流煙による有害物質が床に沈着するため、地面に近いほど吸い込みやすい。また、コリーのような鼻の長いイヌは、鼻がフィルターの役割を果たすが、パグなど鼻先が短いイヌはダイレクトに副流煙を吸ってしまうためリスクが高くなる。がんだけでなく、アトピー性皮膚炎による脱毛が増えるという研究もある。

   動物愛好家の間で最近、受動喫煙などの動物虐待を「アニマルハラスメント」、通称「アニハラ」と呼び、警鐘を鳴らす動きが始まっている。「アニハラ」は「アニメオタクいじめ」をも指すが、ぜひ、動物虐待の方でも理解を広めたい言葉だ。

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