伝統的な江戸前寿司では「ありえない」
では、国内の寿司店に「手袋着用」の動きはあるのだろうか。寿司職人の養成学校「東京寿司アカデミー」の校長は、カウンタースタイルの伝統的な江戸前寿司では「ありえない」と前置きした上で、テイクアウト型の店舗や回転寿司チェーンなどでは、手袋を着用して握るところが多くなったと語る。
「江戸前寿司の『伝統』を守るという観点から見れば、やはり素手で握るのが正しいといえます。ですが、今ではアルバイトやパートといった、『職人』以外が調理場に立つケースも少なくありません。こうした状況の中で、食中毒を防止するために、手袋の着用を義務化したという海外の動きは十分に理解できます」
また、回転寿司チェーンのなかには、全自動でシャリを握る「寿司ロボット」を導入しているところも多い。国内外で「寿司ロボット」を販売しているメーカーによれば、「衛生管理の問題から、寿司ロボットを導入する企業は多いです」。職人が握るよりも衛生的に優れているかは不明だが、人間に任せるよりも「管理」が徹底できる点が好まれているという。