高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「日本の借金1000兆円」のまやかし 「天下り先温存」が大前提だった

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   2016年度の当初予算案が、昨15年末に決まった。予算の話が出ると、国債発行額や、いわゆる国の借金(公債や政府短期証券、借入金の合計)に、あらためて注目が集まる。「国の借金1000兆円」とよく喧伝されているが、筆者はもう4年くらい前に『「借金1000兆円」に騙されるな!』(小学館101新書、2012年)という本を書いている。

   もともと、政府のバランスシートを作成したのは役人時代の筆者である。思い返すと、今から20年以上も前のことだ。

  • 国の本当の借金額は・・・
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国のバランスシートを見ると

   15年に公表された2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

   その特徴は、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。(一方、負債は1143兆円。うち、いわゆる国の借金は986兆円)

   筆者は役人時代から、資料を作るときには、他の国のものも可能な限り作っている。日本政府の資産が大きいというのは、先進国と比較したときの話だ。

   この資産の大きさを指摘すると、役人やその取り巻きからは、決まって「資産は売れないものばかり」と反論してくる。

   資産のうち、政府関係法人への出資金や貸付金などの金融資産が多いのだが、それらは民営化や証券化すれば売却できる。

   筆者は役人時代、小泉政権で経済財政諮問会議の事務局をしていたが、トップに頼み込んで、資産のスリム化に取り組んだ。借金が膨大だというなら、どの会社でもやっている資産のスリム化が先決だ。しかも、財政が危ない会社なら、本体資産のみならず、関係会社の整理は当然だ。そこで、10年ほど前、政府資産規模のスリム化、諮問会議の下に専門調査会を作った。政府関係法人を民営化するかどうかは、政府の意思次第だ。

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