「会社の大事な会議に遅れてはならない」 停車した列車を降りた男性会社員のその後

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運転の一時見合わせ、じつは10万人超が「被害」

   とはいえ、一番迷惑したのはこの40代男性と同じ列車に乗り合わせた乗客だ。いや、それだけではない。JR常磐線は、トラブルがあった綾瀬駅で東京メトロ・千代田線と直通運転でつながっている。さらには小田急線とも接続しており、遅れが発生。この3線を通勤や通学に利用する人たちも迷惑を被った。

   東京メトロは「運休などはありませんでしたが、このトラブルが原因で約4万人のお客様に影響がありました」と話す。つまり、JR東日本とあわせるとじつに10万人を超す人が「被害」を受けたことになる、とんでもない事態だったのだ。

   インターネットには、

「きっちり損害賠償を請求しろ!」
「お前のせいで他の人が1時間もムダにしたこと、わかってるのか」

と厳しい処分を訴える声や、

「これ、会社は解雇だろ」

といった声が少なからずある。

   鉄道法では、許可なくむやみに線路内に立ち入ることを禁止しているが、JR東日本も東京メトロも、この男性に対しては「とくに損害賠償などは考えていません」と話している。「今回のトラブルの原因は複合的なもので、時間がかかったのは架線と架線のつなぎ目に列車が停車したために、いったん電源を落とすなどの措置を施したためです」と、両社は説明する。

   一方、男性の勤務先は不明だが、会社では何らかの処分が下される可能性がある。「たかが遅刻」と、目くじらを立てることもないとの考えもあるが、このケースばかりは社会的な影響から、そうはいかないかもしれない。それだけ「非常識な行為」なのだ。

   企業アナリストの大関暁夫氏は、「最近、『非常識社員』が増えているようですが、それは一社員の問題ではなく、もしかしたら会社の考え方や雰囲気が社会通念から離れているからかもしれません」と話している。

   今回のケースでは、遅刻してもいいわけではないが、たとえ大事な会議に遅れたとしても、列車の窓から線路に降りさえしなければ、会社はまだ大目にみてくれたかもしれない。

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