拉致被害者、北に帰さない判断は誰がしたのか 安倍首相と蓮池透氏、ウソつきはどっちだ

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   北朝鮮による日本人の拉致問題をめぐり、安倍晋三首相が2016年1月12日の衆院予算委員会で民主党の緒方林太郎議員の質問に色をなして反論する一幕があった。委員会後も安倍首相の怒りは収まらなかったようで、「『残念だ』『呆れた』との声」がフェイスブックのコメント欄に相次いだことを書き込んだ。

   ただ、緒方氏が質問の唯一の「ネタ元」にした書籍を執筆した拉致被害者の蓮池薫氏の兄、蓮池透氏はツイッターで反論し、ソーシャルメディア上で「延長戦」「空中戦」が行われている。

  • 安倍首相は、委員会での質問に「『残念だ』『呆れた』との声」が相次いだことをフェイスブックで紹介した
    安倍首相は、委員会での質問に「『残念だ』『呆れた』との声」が相次いだことをフェイスブックで紹介した
  • 安倍首相は、委員会での質問に「『残念だ』『呆れた』との声」が相次いだことをフェイスブックで紹介した

「そういう質問をすること自体が、この問題を政治利用しているとしか思えない」

   予算委員会では、緒方氏が透氏の著書「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」(講談社)から、

「今まで拉致問題は、これでもかというほど政治的に利用されてきた。その典型例は、実は安倍首相によるものだ」

と読み上げ、安倍氏の認識をただした。安倍氏は、

「その本は私はまだ読んでいないが、いちいちコメントするつもりはない。家族会の中からも、実はその本に対して強い批判があることもご紹介させていただきたい。大切なことは、北朝鮮に対して一致結束して、今、我々も一生懸命やってるんですから、すべての拉致被害者を奪還するために全力を尽くしていくことではないか」

と反論したが、緒方氏は「安倍首相は拉致を使ってのし上がった男なのか」と繰り返した。安倍氏は若干いらだった様子で、

「もう、そういう議論をする気すら起こらない。そういう質問をすること自体が、この問題を政治利用しているとしか思えない」

とあきれたが、緒方氏は本の記述を根拠に質問を続けた。

   緒方氏が次に論点にしたのは、薫氏ら拉致被害者5人が02年に「一時帰国」した際、5人を北朝鮮に帰さない判断を誰がしたのかという点だ。一般的には、当時官房副長官だった安倍氏による判断だったと考えられているが、透氏は著書で日本政府が「弟(編注:薫氏)たちの『北朝鮮には戻らない、日本にとどまる』という強い意志が覆らないと知って、しぶしぶ方針を転換」したと主張。安倍氏は透氏の主張を真っ向から否定した。

「そこ(関係者が集まった官房副長官室)で最終的に、私は『返さない』という判断をした。透さんはそこには関わっていないが、これは拉致被害者ご本人に聞いていただければ分かること。私は誰がウソをついているとは言いたくないが、私が申し上げていることが真実。他の方々に聞いていただきたいと思いますよ?今、1人の本だけを使って...。この本に対してすごく怒っている人だっているんですよ、実際に、家族会の中に!」
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