ガイドラインは「万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山は『禁止』」
静岡市の田辺信宏市長は
「今回このような訴訟が提起されたことは誠に遺憾です。消防職員はでき得る限りの救助活動を行ったものと認識しています。今後、訴訟には適切に対応してまいります」
とのコメントを出し、事実上争う姿勢だ。
環境省や山梨県、静岡県などでつくる「富士山における適正利用推進協議会」が13年に策定したガイドラインでは、「万全な準備をしない登山者の夏山期間以外の登山『禁止』」をうたっている。それ以前は「自粛」を求めるにとどめていたが、不慣れな登山者による事故が後を絶たないため、表現を強めた。ガイドラインに法的拘束力はないが、それでも夏以外に登山する場合は「登山計画書」を提出することを求めている。それに加えて、夏以外はトイレが閉鎖されているため携帯トイレを持参して排泄物を回収して持ち帰ることも求めている。
協議会のまとめによると、富士登山では14年には80人が遭難し、10人が死亡している。そのうち夏山期間以外では19人が遭難し、6人が死亡している。冬の方が、遭難後に死に至る確率が格段に高いことが分かる。
第1回口頭弁論は2月5日に開かれる。こういった前提のもとで、どこが市の「過失」にあたるかについて争われることになりそうだ。