「下り」利用の乗客はたった1割しかない
しかし、こうした働きかけも報われることはなく、宇都宮駅停車はまたも実現しなかった。その理由は需要が見込めないうえ、所用時間を短縮する必要があったからだ。
JR東日本によると、宇都宮駅の新幹線利用客のうち、上りが9割で下りは1割。その下りの客の多くも仙台で降りてしまい、現在の終着駅の新青森まで向かう人はごく少数。つまり、「北海道新幹線が開業しても利用客増は見込めない」(JR東日本)というわけだ。
また、JR東日本とJR北海道は安全面に配慮して最速でも所用時間を4時間2分にし、飛行機より新幹線を選ぶとされる「4時間の壁」を無理に破ることはなかった。その一方で「速達性を重視する乗客も無視できない」(JR北海道)面もあり、少しでも所用時間を短縮するため、停車駅を可能な限り少なくしたというわけだ。
ただ、JR側も宇都宮駅の停車を見送るかわり、「仙台駅で下りの新幹線に乗り換えしやすいようにダイヤを組んだ」と関係自治体などに一定の配慮もみせた。
宇都宮駅「通過」に対し、佐藤市長は「誠に残念」と悔しさをにじませつつも、「仙台駅での乗り換え利便性の向上に一定の配慮をいただいた。引き続き停車に向けて努力したい」とコメント。栃木県の福田富市知事も「ダイヤ改正で宇都宮駅停車が実現できるよう要望する」と談話を出した。
ネット上でも「はやぶさの宇都宮停車は時間の無駄」「所用時間が4時間切れないのかとか、なぜ宇都宮に停車しないのかと怒られるJRも大変」と「通過」を当然とする意見と、「県民、市民として通過は納得できない」などと憤る地元の声で盛り上がっている。