じっくり構えて、配当で儲ける手も・・・
今回初めてIPO(新規上場)株を買ったという、ゆうちょ銀行株を購入した別の個人投資家も「翌日1800円に乗ったときに売りました」と話す。買ったときから、「3%も上がらないのでは」と、読んでいたという。
上場前、郵政株はかつてのNTT株を思わせる熱気が漂っていたが、その一方で郵政株が内需関連株であることを理由に、「ビジネスの成長性に乏しい」、また市場売買の約6割を占め外国人投資家が冷ややかだったことから「上値は限られてくる」との指摘があり、株価の高騰を懐疑的に見る向きもあった。
その個人投資家は、「まだ持っている人は最初から売るつもりがない、長期保有の配当狙いなんじゃないですか」とみている。
もちろん、株式を保有する個人投資家がすべてキャピタルゲインを得ようとするわけではない。むしろ一般的には、個人投資家は長期保有することで配当利益や株主優待を得るという人が少なくないとされるのだ。
日本郵政とゆうちょ銀行は、売り出し時から純利益の50%以上を株主に配当する方針を打ち出し、かんぽ生命も30~50%程度とする、としていた。配当を高めることで長期保有してもらうのが狙い。その結果、「かつての電力株のように預貯金代わりに購入した人もいる」という。
売り出し価格で買った個人投資家は、いま売ればまだ損はしない。また、インデックスファンドの買い需要が大きいという、株価の上昇要因がないわけではない。早ければ2016年夏ともいわれる追加売り出しに向けた上昇期待もある。現在の株式市場は軟調だが、アベノミクスの成長戦略や2020年の東京五輪需要なども株価の押し上げ要因だ。こうなると、どっしり構えて再度値上がりを期待しつつ、気長に待つというのもありかもしれない。