三菱地所がJR東京駅前に日本一の超高層ビルを建設する計画を進めている。その高さは約390メートル。「これを超えるビルは国内では半永久的に生まれないだろう」(不動産シンクタンク関係者)との声も上がる。
日本一のビル建設の背景には、「丸の内の大家」と呼ばれながら、これまでさまざまな問題に悩まされてきた名門、三菱地所の「プライドと意地」が見え隠れする。
2014年までは「横浜ランドマークタワー」で首位
現在国内でトップを誇るビルは、2014年春に全面開業した大阪市の「あべのハルカス」で、高さは約300メートル。あべのハルカスが登場する前に日本一だったのは、横浜市にある「横浜ランドマークタワー」で、高さは約296メートルだった。わずか約4メートルの差で日本一の座を奪われたランドマークタワーを開発した企業こそ、三菱地所だった。
三菱地所は今回の超高層ビル開発に関し、「結果として日本一になるだけだ」と涼しい顔で言う。しかし、不動産業界では、この主張を真に受ける人は少ない。ある業界関係者は「かつて4メートルの差で王座から引きずり下ろされながら、今度は90メートルもの差をつけて再び王座を奪回しようという試みから見て、日本一への強い執着が見える」と指摘する。しかも、日本一のビルを作るのは三菱地所のお膝元といえる東京の丸の内・大手町地区だ。「どうだ、見てみろ、とも言える強いプライドがうかがえる」と別の業界関係者も話す。