「有資格者」「即戦力」がいないため?
今回の労働経済動向調査で、「正社員が足りない」と感じている経営者が多い業種をみると、景気回復に伴う需要増から、運輸・郵便業が8月から6ポイント上昇の51ポイントと最多。建設業は10ポイント上昇して44ポイントとなった。高齢化に伴い、労働者の不足感が続く医療・福祉は1ポイント上がって44ポイントだった。
こうした業種での正社員不足の背景について「若者が力仕事や低賃金の仕事を避ける傾向にある」との見方がされることも多いが、雇用のミスマッチの原因は他にもある。
厚労省は、「たとえば建設業は、正社員は不足していますが、パートはそうでもありません。会社側が設計や測量、クレーン運転士などの資格を持っている人材を求めているケースが多いんです」と話す。つまり会社が求めている、そもそも資格を有する、即戦力の人材がいないというわけだ。
業務に必要な資格を有する人材を求めるのは建設業に限らない。たとえば、腕のいいエンジニアや、経験豊富な「できる」営業担当や販売員、財務・会計スタッフといった即戦力の人材も、さまざまな会社が求めている。
しかし残念ながら、経験の浅い若手はこれに当たらないことになる。
一方、賃金面では、会社側は人材を確保したいものの、そう簡単には上げられない。厚労省は「調査対象の会社の中にも業績が思わしくない会社もあります。中小企業などは人手不足でも求人募集ができないなど、常に不足感を抱えている場合があり、なかなかマッチングできない原因はそのあたりにあります」とみている。
業績がさえない中小企業ほど、深刻というわけだ。