福島医科大医学部の前島裕子准教授と下村健寿教授の研究チームが、食欲を抑える脳内の神経回路を新たに発見し、2015年12月2日付のドイツの科学誌「ブレイン・ストラクチャー・ファンクション」(電子版)に発表した。肥満治療の研究への貢献が期待されている。
これまで、脳内に食欲を抑える働きを持つ神経ペチブド(因子)のネスファチンがあることがわかっていた。ラットの脳にネスファチンを投与し続けると、食事の量が2割以上減り、体重が減少する。
2009年に前島裕子准教授は、ネスファチンが脳内の1本の神経回路を通じて食欲をつかさどる中枢に影響を与えていることを発見した。今回は、その神経回路がどのように働いて食欲を調整するかを調べた。その結果、ネスファチンと中枢とは「1対1」で1本の神経回路でつながっていると考えていたのに、実は「1対2」で、途中で2本に分かれてつながっていることがわかった。
前島裕子准教授らは「今回の発見で肥満のメカニズムの解明に一歩近づきました。肥満治療薬の開発につなげたいです」と語っている。