「髪を染めたり、ピアスをすることが、なぜいけないことなのか」――。こんな書き出しで始まる高校教師の新聞投書が賛否を呼んでいる。高校生の茶髪やピアスを禁止することを、「教師の好みを押し付けているだけ」だと批判し、戦中の統制主義を彷彿とさせるとまで言い放ったものだ。
投稿したのは、神奈川県に住む30代の高校教師。実名での掲載で、ネット上では「こんな先生に出会いたかった」と賛同の声が寄せられる一方で、「校則も守れないなら、まともな社会人になれないのでは?」と疑問を表わす声も少なくなく、意見は完全に二分している。
「印刷コピーして学校に貼ってまわろうぜ」
「好みを押しつけてはいけない」と題された話題の投書は、15年12月30日の朝日新聞朝刊に掲載されたものだ。
投書では、学生の茶髪やピアスを批判する教員に対して、「『あるべき生徒像』という教員の私的な好みや趣味を、子どもたちに押しつけているだけではないだろうか」と問いかけている。その上で、そうした教員の押し付けが「正当化」されていることについて、「戦中の国民服やパーマ禁止を彷彿とさせる」「あしき統制主義でしかないと思う」と批判している。
最終的には、
「茶髪やピアスなどについては、本人の決定に委ねる以外にない。それが、憲法13条が要請している個人の尊重の精神である」
として、学校で徹底する必要のないルールだと結論付けている。
この投書は、とあるユーザーが紙面を撮影した画像をツイッターに投稿したことで拡散され、大きな注目を集めることになった。若い世代からはとくに共感を持って受け止められたようで、「すっげーカッコイイ。これ印刷コピーして学校に貼ってまわろうぜ」「学校の先生たちに見せてえわ !!」といった声が寄せられている。
その一方で、
「そんな校則ある高校に行かなきゃいい。世の中全て自分の思い通りに生きていける訳なんてないでしょ」
「教員が私的な好みや趣味を押し付けてるというより、社会に出てからのルールの中で困らないように教えているのではないでしょうか?」
「たしかに茶髪とかピアスが公共の場で迷惑になるわけじゃないけど、学校って集団に所属してるならそこの規則くらいは守ったほうがいいと思う」
などと、投書の内容に批判的な意見も少なくない。紙面の掲載から6日が過ぎた16年1月5日現在も、ツイッター上にはさまざまな意見が寄せられている。