大リーグ「入札ビジネス」は日本球団のドル箱 前田健太ドジャース入り「広島の損得」

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エースの「譲渡金」で年間球団運営費に相当

   これまで何人かの投手が入札で太平洋を渡った。いずれもそのときの日本球界ナンバーワンばかりだ。

   西武の松坂大輔が名門レッドソックス入りしたのは2007年のことだった。「6年、5200万ドル(60億円)」が契約条件で、西武には同額の譲渡金が入ったとされている。

「西武は譲渡金で1年間の球団運営費を賄えた」

   こんな声が関係者から上がったほどである。この後、譲渡金の制度が改められ、上限が決まった。

   次はダルビッシュ有である。12年にレンジャースと契約し、契約条件は「5600万ドル(67億円)プラス出来高400万ドル(5億円)」で、松坂を超える内容と話題になった。その陰で日本ハムは40億円を超える譲渡金を受け取った。

   そして田中将大だ。14年、屈指の名門ヤンキースと「7年、1億5500万ドル(161億円)」の契約を結んだ。楽天はというと、譲渡金の上限いっぱいの「40億円」をいただいた。

   どの球団も選手が大リーグ行きを希望すると、必ず「残ってほしい」とコメントする。ところが正式の話になると、すべて「いいよ、頑張んなさい」と送り出す。とてつもない収入につながるのだから、本心は「大もうけ」といったところなのだろう。

   このように、いまや日本の球団は「入札ビジネス」にはまり込んでいる。数年後には阪神の藤浪晋太郎、日本ハムの大谷翔平も「大金のなる木」に変身するに違いない。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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