【羽鳥慎一モーニングショー】(テレビ朝日系)2015年12月16日放送
「中高年"もう一度、恋"のホンネ」
恋にときめくのは若者だけではない。今では中高年向けの「婚活パーティー」が大盛況。一方で、若い女性に恋心を抱いた60代、70代の男性が、暴走の果てにとんでもない事件を引き起こすケースもある。
若いころに積んだ「恋愛の経験値」の度合いが、年齢を重ねてから影響を及ぼしているようだ。
「娘のような気持ち」に裁判長は「違うのではないか」
2015年、「老いらくの恋」が世間を騒がせた事件がある。67歳の大学教授が20代女性の教え子に、司法試験の問題を漏えいしたのだ。当時、明治大法科大学院教授で司法試験考査委員を務めていた青柳幸一被告は、国家公務員法違反の罪に問われ起訴された。裁判で青柳被告は、問題を漏らした理由について、1年前に司法試験に失敗して泣いていた教え子を「何とかしてやりたかった」「娘のような気持ちになった」と話した。だが裁判長から「女性とは交際していたんですよね。娘のようだと言っているが、違うのではないか」と指摘されると、「そうですね」と認めた。青柳被告には妻子がいるが、教え子とはおととしから交際していた。
番組ではほかにも、中高年による「暴走恋愛」を取り上げた。ひとつは、59歳男が70代男性を刺殺した事件。ひとりの女性を巡っての「三角関係」の末の凶行だった。もうひとつは10月、東京都内で起きた。70代男が20代女性に暴言を吐いて脅したのだ(本人は否認)。女性は喫茶店の店員で、男は常連客。客として親切に対応されたのを「自分に好意を持っている」と思い込み、女性に結婚を申し込む手紙を渡したのだ。女性はこれを読まずに返したところ男が激高し、騒ぎに発展したのだという。
なぜこんなことになるのか。高齢者事情に詳しいノンフィクション作家の新郷由起さんは、こう解説した。
新郷「世代的に、たくさんの恋愛経験を積んでいる人の方がまれ。余計に恋愛へのあこがれ、期待度が高い。残りの人生を考えれば考えるほど、自分を受け止めてくれる相手を欲しがるのです。それがややもすると、自己都合だけに走ってしまう」
71歳男性からの「壁ドン」
街頭インタビューでは、高齢になると「物事を自分中心に考えるようになる」(71歳男性)、「寂しさから独占欲が強くなる」(60歳女性)といった意見が出た。70歳男による20代女性の脅しという事件についてスタジオでは、新郷さんに羽鳥慎一アナ、テレビ朝日の玉川徹ディレクター、菅野朋子弁護士を交えて「大激論」だ。
玉川「70代で20歳の女性と結婚できると思っているんだろうか」
羽鳥「それは人によります。友達やパートナーが欲しい、それが結婚相手かもしれない。年齢は関係ないと思います」
玉川「でも、相当レアケースですよ」
菅野「60代が20代(という事例)で、職場だったのでそれがセクシャルハラスメント、という話になったこともあります」
新郷「恋愛体験、経験値が低いほど対処力が乏しい。自己本位で考えて、『これで(恋愛に発展することは)間違いない』と自分で決定打を打ってしまう」
恋愛を望む中高年が暴走しないためにも、健全な出会いの場が必要だ。実際に最近は、さまざまな機会が提供されているという。
番組が「潜入」したのは、60代の男女60人が集うカラオケ・ダンスイベント。東京・巣鴨で月に1度開かれ、年間80組のカップルが結婚や再婚を果たしているという。パーティー形式で、頻繁に席替えが促される。全員に平等に話すチャンスが回ってくるようにとの配慮だ。
一方で、最近ではミカン狩りとバーベキュー、食べ放題日帰りバスツアー、皇居周辺ウォーキングといった屋外型イベントがはやっている。新郷さんによると、相手に面と向かって何を話せばいいのか、会話が弾まないまま時間切れになることもある。屋外のウォーキングのように何か一緒に目的を持って行動しながらの方が、自然に接することができるそうだ。
取材のため、中高年の出会いイベントに何度も参加しているという新郷さん。以前、71歳男性から「壁ドン」までされたとか。中高年の恋愛パワー、恐るべし。