長寿の秘密は南米先住民の人々にあった
背の低さが長生きに関係する例として、最近、注目されているのが、南米の一部の先住民にみられる「ラロン型低身長症」(ラロン症)の人々の研究だ。ラロン症の人たちは先天的な成長ホルモン受容体の異常により、成長ホルモンが機能しないため、身長が120センチくらいまでしか伸びない。研究者が驚くのは、ラロン症の人たちは極めてがんになりにくいということだ。彼らが住む村と同じ地域の人々とのがんの発症率を比較すると、17分の1だ。そのうえ糖尿病の発症率は皆無に近いという。
研究者たちは、成長ホルモンが作り出す、がん発症と関係が深い「IGF-1」の影響を受けないからではないかとみている。7歳児くらいの身長で一生をすごす人々が、現代医学の長寿研究のカギを握っている。