法政大学が学内でのインターネット利用を制限し、一部の通信を遮断すると2015年12月21日に発表した。動画サイトやオンラインゲームなど私的な回線利用が急増し、教育研究のための利用を妨げていることが理由だ。
法政に限らずネットの利用制限を行っている大学は複数あり、不特定多数が利用する学内ネット環境の整備に頭を抱えている。
P2PソフトウェアとニンテンドーDSが対象
法政が運営する学術情報提供サイトによると、市ヶ谷、多摩、小金井の全キャンパスでインターネットの反応が遅い、つながりにくいといった状況が頻発しているという。 原因はネットの私的利用の増加にある。大学が調べたところ、学内で利用されている通信量の内訳は、学内サービスや授業で利用する通信は全体の30%に過ぎず、残りの約70%はユーチューブやSNS(フェイスブック、ツイッターなど)、ゲームサイト、ファイル共有ソフトなどの利用が占めていた。
法政はこの現状を「(ネットの私的利用が)教育研究活動に重大な悪影響を及ぼす状況に近づいている」として、12月7日に学内利用者に向けて不要・不急のインターネット利用を控えるよう求めたが、改善されなかったため今回制限に踏み切った。
J-CASTが法政に通う現役の学生に話を聞いたところ、今回、通信遮断の対象になったのは、ファイル共有ソフトの「P2Pソフトウェア」(一部対象外)と、任天堂のゲーム端末Nintendo DSだとわかった。実施は16年1月8日からで、期間は「当面の間」となっており、明言されていない。
ツイッターやWindowsアップデートを制限の例も
これまで学内の通信制限を行った大学は法政だけではない。
立教大学では15年7月に通信速度低下対策としてApple App Store(アップルアップストア)へのアクセス、Windows(ウィンドウズ)のアップデート、学内無線LANからツイッター閲覧や投稿など、具体的な対象を示した上で一時的な制限をかけた。
大阪電気通信大学は13年に学内の通信が重たくなっている原因の一つがオンラインゲームへのアクセスだったと判明したことを受けて、制限を実施した。
ただ、大学でのネット制限については
「研究目的でYouTubeやLINEを利用している人もいる」
「今どきYoutubeに研究紹介の動画上がってたり、Skypeで打ち合わせしたりするのにそういうのも遮断すんの?」
「自動的に行われるパソコンのアップデートは許してやれよ」
などと、線引きの難しさを指摘する声も出ている。
デジタルネイティブ世代が在学生の大半を占めていくなかで、ネット制限をどこまで続けられるのか、各大学とも頭を抱えている。