大気汚染悪化の中国で「ピンク色の空」 新鮮な空気求めて「珍商売」も登場

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   中国で、大気汚染の深刻化が原因と思われる驚きの光景が登場した。空が一面ピンク色に染まったのだ。

   本格的な冬の到来で暖房需要が増すこの時期、石炭の燃焼により微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が高まり、健康被害を心配する市民はウンザリの様子だ。

  • PM2.5の被害は中国各地で発生(写真は2013年、上海で撮影)
    PM2.5の被害は中国各地で発生(写真は2013年、上海で撮影)
  • PM2.5の被害は中国各地で発生(写真は2013年、上海で撮影)

米研究「石炭由来のPM2.5は心疾患死亡リスク5倍」

   高くそびえるビル群を覆う、ピンク色の空。2015年12月24日付のAFP通信をはじめ複数のメディアが掲載した写真だ。中国江蘇省・南京で撮影され、交流サイト(SNS)で拡散されたという。ピンク色の正体について、PM2.5など汚染物質で大気が白くかすんでいたところに夕焼けが重なり、このような現象が起きたとの説もある。

   その前日の12月23日、天津では市当局が大気汚染の警報で最高レベルの「赤色警報」を初めて出し、学校を休校にするなどの措置を取った。その前にも北京で2回目、また河北省でも赤色警報が発令されたという。

   PM2.5に関しては、最近このような研究論文が発表された。米ニューヨーク大学ランゴン医療センターのジョージ・サーストン教授らのチームが1982~2004年、米100都市で集めた約45万人分のデータを分析。そこから、石炭や原油、天然ガスの燃焼で生じたPM2.5のような小粒子にさらされた場合、石炭由来のものは心疾患による死亡リスクが、他の燃料由来のものと比較して5倍高くなると判明したという。論文は2015年12月2日付で、米月刊科学誌「Environmental Health Perspectives」(電子版)に掲載された。

   中国では、住宅用の暖房の主力燃料は今日でも石炭だ。PM2.5による健康への被害が懸念される。

レストランの請求書に「新鮮な空気代」

   現地に住む人は、PM2.5に敏感に反応している。12月19日付の毎日新聞電子版によると、北京市当局などがその濃度を計測してインターネット上に公開、市民だけでなく在留邦人も、スマートフォンを使って日々確認している人が多いそうだ。一方で、濃度が400マイクログラムを超える日を経験すると、200マイクログラムでは驚かなくなっているとも。

   日本では、環境基本法が定めるPM2.5の1日の基準値は、1立方メートル当たり35マイクログラム以下。中国では「驚かなくなっている」人すらいる200マイクログラムという値が、いかに大きいかが分かる。

   PM2.5の深刻化によりきれいな空気が重視されてきたためか、「珍商売」も登場した。複数の報道によると、カナダの新興企業が、ロッキー山脈の新鮮な空気を詰めた缶入りスプレーを中国で発売したところ、初回分の500本が10日ほどで完売したという。

   江蘇省・張家港市のレストランでは、客が「新鮮な空気提供代」を請求されて話題となった。香港紙・サウスチャイナモーニングポスト(電子版)12月14日付に掲載された、レストラン側が提示した請求書の写真には、細目の中に「空気浄化費」が含まれている。金額は1元(約18円)で、食後の支払いの段階まで客には知らされていなかったそうだ。

姉妹サイト