北斗晶が立ち向かう乳がん治療 抗がん剤で抜けた髪は再生するのか

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【羽鳥慎一モーニングショー】(テレビ朝日系)2015年11月24日放送
「がん治療 街のギモンにすべて答えます」

   タレントの北斗晶さんが2015年9月に乳がんを公表した。抗がん剤治療を始め、副作用で毛髪が抜ける前に自ら髪を切って「坊主頭」の写真をブログに公開する潔さに、多くの応援コメントが寄せられた。

   実際に治療を受けてみないと、抗がん剤がどういうものかは分からないだろう。この日の「モーニングショー」では、湘南記念病院かまくら乳がんセンター長・土井卓子医師が詳しく解説した。

  • 抗がん剤の投与が終われば1月~1か月半ほどで髪が生えてくる(写真はイメージ)
    抗がん剤の投与が終われば1月~1か月半ほどで髪が生えてくる(写真はイメージ)
  • 抗がん剤の投与が終われば1月~1か月半ほどで髪が生えてくる(写真はイメージ)

乳がんでは転移を起こさせないのが治療のポイント

   最初に基本的な質問として「なぜ抗がん剤を使うのか」。これは、がん細胞の分裂を抑制するためだという。

土井「乳がんは全身病なので、発見されたときには『微小転移』、つまり見えないけれど骨や肺、肝臓といったところに転移していることがほとんどです。それを成長させないよう、枯らしてしまえば根治できるのです」

   胃がんや大腸がんといった場合、臓器そのものががんに侵されて機能不全になれば命の危険がある。だが乳がんの場合は乳房自体が命の危険につながるわけではなく、怖いのは転移だという。一方で、乳がんは発生から発見されるまでの時間が長いため、微小転移が起きてしまう。そのため、転移を起こさせないのが治療の重要なポイントになるのだ。

   では、なぜ抗がん剤によって髪が抜け落ちるのか。実は毛髪は細胞分裂が活発な場所のため、抗がん剤の影響を強く受けるのだという。では、いったん抜け落ちた髪はまた生えてくるのか。答えは「イエス」だ。

   土井医師によると、個人差はあるが抗がん剤の投与が終われば1月~1か月半ほどで髪が生えてくるという。長く生えそろうまでは多少の時間がかかるが、患者にとっては心の支えになるだろう。

治療期間は半年、開始時には吐き気や発熱

   抗がん剤には、ほかにどんな副作用があるのか。まず、治療開始初日には、吐き気や血管痛、発熱が起き、1週間以内にだるさや食欲不振、おう吐、下痢になる。1~2週間後になると口内炎や胃もたれが出てくる。脱毛が見られるのは3~4週間後で、同時期に手足のしびれや膀胱炎の症状もあるそうだ。こうした症状にも、個人差はある。

   治療期間はおよそ6か月、費用は100万円程度かかる。このことをめぐって、司会者の羽鳥慎一アナとコメンテーターでジャーナリストの青木理、雑誌「AERA」編集長の浜田敬子が意見を交わした。

羽鳥「命の問題だから、お金の問題ではないでしょうけれど、なかなかの金額ですね」
青木「保険がきいて、この金額?」
土井「いえ、保険を使って3割負担なら、30万円です」
青木「でも、30万円かかる...」
浜田「治療するときだけ、2泊3日ぐらい入院してということ?」
土井「今は、乳がん治療は外来化学療法が基本なので、入院はありません」

仕事と治療の両立が基本

   2014年の東京都福祉保健局の調査によると、がん患者のうち約80%が治療と仕事を両立したいと考えているという。また厚生労働省の調査では、がん患者の平均入院日数は、1996年の35.8日から2011年には19.5日と大幅に短縮された。医療技術の進歩が貢献しているようだ。

   土井医師によると、乳がんは胃や腸といった臓器のがんと違って体力的には早期の仕事復帰が可能で、実際に患者にも「必要以上に休まなくていいよ」とアドバイスするのだそうだ。番組で紹介したタレントの生稲晃子さんの場合、8年半務めたレギュラー番組を降板したくないとの思いから、収録の合間の1週間で手術を終え、退院翌日にロケに出かけたこともあったと話した。

   決して安くない治療費のことを考えると、仕事と治療を両立させないと難しいと土井医師は指摘する。

浜田「仕事を辞めてしまうと、治療費も払えなくなる」
青木「(治療に)30万円かかるわけでしょ。単純に考えて、仕事を辞めたら30万円負担するのも大変」
土井「一度離職すると、乳がんの女性は再就職が非常に難しいのが現実。(仕事と治療を)両立してもらうのが基本です」
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