米本社の株売却報道、権利確定後に動き出した株価
そうした中で、日本マクドナルドHDの筆頭株主として、約50%を保有する親会社の米マクドナルド(本社)が、マック株を最大33%売却することを検討していることが2015年12月22日に伝えられた。大手商社や投資ファンドに打診しているという。
さすがに、同日のマック株は、前日比231円安の2712円と急落。しかし、それでも年初(1月5日)の2612円を上回る水準にあった。
マックの株主優待の権利確定日は毎年12月31日。3営業日前に購入しておかないと権利を得られないので、2015年は12月25日にマック株を保有していないと、株主優待は受けられない。
「権利取り」に向けて、株式が買われたとみられていたほか、赤字決算の発表や相次ぐ閉店で、「悪材料が出尽くした」との見方もあって高値で推移していたとみられる。
そのせいか、権利取りがすぎた28日のマック株は前日(25日)比53円安の2590円で引けた。年初来高値を付けた8日からは15.6%の下落だ。
一般に、赤字経営の中で配当金や株主優待にかかるコストは、まず削減されてもおかしくない項目のはず。
気になる個人株主への株主優待について、日本マクドナルドHDに聞くと、「(優待内容の変更を含め)現時点で、変更の予定はありません」と話す。
一方、大和インベスター・リレーションズの「株主優待 2015年版」によると、株主優待を実施している企業は年々増え、現在は上場企業3600社のうち、食品や小売業を中心に1150社にのぼるという。しかも、長期保有を優遇する傾向にある。
日本マクドナルドHDにしてみれば、株主優待を「やめる」ことで個人株主の「離反」を招き、それが株価急落の引き金になるほうが心配なのかもしれない。