わずかな血液を検査するだけで、がんに関連する異常な遺伝子を60種類検出する新しい手法を国立がん研究センターが開発した。2015年12月16日付の英医学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に発表した。
多くの遺伝子異常を調べるためには、針で刺して組織を取り出す生体検査が行なわれているが、患者の負担が大きく、出血による合併症の危険もある。新手法なら繰り返し検査できるうえ、一人ひとりのがんの進み方にあった薬や治療法の選択ができるようになる。
がんの発症にかかわる遺伝子異常は、肺がんや乳がんなどの種類を超えて共通するものがあり、血液中に含まれていることが多い。そこで研究チームは、すい臓がんの患者48人の血液で、がん由来のDNAを最先端の解析装置を使って調べた。データの解析方法を工夫し、従来は最低200ミリリットル必要だった血液を、5ミリリットルで60種類の遺伝子異常を正確に検出することに成功した。
研究チームの谷内田真一ユニット長は、「今回の研究はすい臓がんで行われましたが、すい臓がんに限らず、血液がん以外のあらゆるがんに使える手法です」とコメントしている。