スーパーで買い物するとき、購入するつもりで手にとった食料品を、買わずに別の売り場に置いてきてしまう人がいる。スーパーで働く店員とみられる人がツイッターで「せめて、元にあった売り場に戻してほしい」と訴え、話題になっている。
そういった食料品が、きちんと元の売り場に戻されないと、廃棄処分にされてしまうことがあるというのだ。
「いったいどういう神経してんだろっ」
「皆さん知らないかもしれませんが、食料品の小売りで、一度持っていかれた商品を元の場所に戻さなかった場合、不審物として廃棄処分となります。魚を肉売り場に、お菓子を酒売り場になど、すべて廃棄です」――。クリスマスや新年の準備に向けて、生鮮食品をはじめ、さまざまな食料品を求める買い物客でスーパーがごった返している2015年12月24日、ツイッターにこんな投稿が寄せられた。
そして、「もったいないです。せめて、野菜なら野菜、魚なら魚売り場に戻してくださるとありがたいです」と、続く。
このツイートがインターネットで拡散されると、廃棄処分されることを「知らなかった!」という人が続出し、大きな反響を呼んでいる。
たしかに、食料品を買おうとして一度は買い物かごに入れたが、それよりもおいしそうだったり、安かったりして、別の品に取り替えることはある。その際、元の場所まで戻るのが億劫で、関係のない場所に買わなくなった商品を置いてしまう買い物客の存在を問題視しているわけだ。
ツイッターの投稿主も「国産若鳥ローストチキン490円二本とその他が菓子売り場に放置、怒り心頭で書いた」と記しており、そんな買い物客に出くわしたとみられる。
こうした投稿に対して、インターネットには、
「急いで買い物したいのか面倒なのか知らないが、刺身やアイスクリームを常温の棚に置いていく客が許せない」
「けっこう見かける。いったいどういう神経してんだろって思う」
「これ、知らんかったわ。すべて廃棄してしまうって、どんだけもったいないことしとるん」
「マジむかつく。『元の場所に戻す』って最低限のマナーだと思ってたけど違うんかい!」
「場所がわからなくなっちゃったり、戻すのが面倒になったりしちゃったら、店員にひと言かけてくれるだけでもいいのに」
と、投稿主に共感する声が寄せられている。
「再度きちんとチェックしてから、廃棄するかどうか判断する」
最近は、食料品への異物や毒物の混入事件などが大きな注目を集め、経営にも大きな影響を与えるだけに、スーパーの店員も神経をとがらせている。「廃棄処分」する理由としては、異物や毒物混入の疑いや適温の保存ではなくなるため品質が保証できないことなどが考えられる。
ただ、大手スーパーによると「必ず廃棄処分するというわけではない」という。 今回のスーパーの店員とみられるツイッターの投稿主も、「私が働いた二社ではそうしていましたが、業界の不文律ではないと書かなかったー!」として、他社については言及を避けている。
ある大手スーパーは、「ケース・バイ・ケースですね」という。たとえば、スナック菓子などは包装の状態などを確認して、問題がなければ元の陳列棚に戻すそうだ。「そもそも生鮮食品を含め食料品には目視や装置を使ったものなど、いくつかのチェック項目があり、それを経て棚に陳列することになっています。別の売り場にあった商品もその延長線上のことなので、再度きちんとチェックしてから元に戻すか、あるいは廃棄するか、判断することになります」と説明する。
また、別の大手スーパーも「担当者が売り場を回っていますから、そういった商品があればすぐにわかります。いったんバックヤードに下げて、商品の状態を確認してから、(棚に戻すかどうか)決めています」と話す。
ただ、いずれの大手スーパーも詳細なマニュアルがあるわけではなく、判断は現場に任せているようだ。
最近は元の売り場に戻さないばかりか、賞味期限を一つひとつ確認してはその場に商品を放ったらかしにしたり、冷凍食品を陳列棚の奥から掘り返してみたり、鮮魚や肉のパックにかかっているラップを指で押して商品を選んだりと、売り場を荒らしていく買い物客を見かけることも珍しくなくなった。
スーパーにしてみれば、店員は余計な仕事が増えるだけでなく、売りモノにならなくなって廃棄するしかなくなる場合もある。この時期、スーパーで働く店員らにしてみれば、身勝手で常識のない買い物客に対する投稿主の怒りは十分理解できるものだろう。