「クリスマス後に産婦人科を訪れる人が倍増している」。看護師の友人によるというこんな話を紹介したツイートが、ネット上で反響を呼んでいる。
クリスマスは、恋人と一緒に過ごすという人は多いだろう。避妊していなかったり、避妊に失敗していないかを心配したりする人が多いということのようなのだが......。
「みんなちゃんと避妊するんだよ」と呼びかけ
あるツイッターユーザーが2015年12月23日、「クリスマスの後の産婦人科の受診率の倍増具合が今年も懸念される」とつぶやいたところ、1万2000以上もリツイートされるほどの話題になった。
それによると、産婦人科に勤めている看護師の友人は、今年も年末年始に休みが取れないとして、アフターピル(緊急避妊薬)をコンビニで売ってほしいぐらいだと怒っていたという。もちろん、避妊薬は、医師の処方箋が必要になる。また、性病検査をする人も増えるという。こうしたことについて、このユーザーは、「みんなちゃんと避妊するんだよ」と呼びかけた。
ユーザーは、14年も同じ時期に同様なツイートをしており、このときも5000ほどもリツイートされていた。クリスマス後に受診が増えるのは、毎年のように繰り返されているというのだ。
クリスマス後に産婦人科受診が増えるというのは、新聞などの報道でも過去にごく一部であっただけだ。
2001年9月5日の地方紙配信記事によると、東京都内の婦人科クリニックが開設した緊急避妊ホットラインには、クリスマス翌日の午前に妊娠を心配してかけてくる相談電話が集中するという。4人のうち3人が24歳以下で、コンドームが破れたり避妊しなかったりと、無防備な性行為が目立つとしていた。
また、07年12月5日の朝日新聞記事では、群馬県内の産婦人科医がクリスマス後に緊急避妊したいと駆け込んでくる女性が増えると言っていた。
妊娠検査薬がドラッグストアから消えた?
そこで、東京都内のある婦人科クリニックに取材すると、院長がこう答えた。
「正月などイベントの後に、受診が増えたと感じることはありますが、クリスマス後だからとは言い切れないと思います。データがないと増えたとは言えませんので、説得力はなく、微妙なところでしょうね」
ツイッターでは過去に、簡易な方法で妊娠の有無が分かる「妊娠検査薬」が、クリスマス後にドラッグストアの店頭から消えたと、画像付きで投稿されたことがあった。
これが本当なら、妊娠を気にしている人が多いことになる。そこで、大手チェーン「マツモトキヨシ」に取材すると、広報室では、次のように答えた。
「クリスマス後に検査薬の売り上げが急増したといった報告は、聞いたことがありません。各店舗では、在庫切れがないように、いつも努めています」
妊娠検査薬を取り扱っている大手製薬会社「ロート製薬」でも、「検査薬の出荷は毎年、年間を通して一定しており、特にクリスマスの時期に多いということはないです」と取材に答えた。
クリスマス後に一部で駆け込みが増えている可能性はあるものの、全体に影響が出てくるほどではないのかもしれない。