シリア取材に向かったフリージャーナリストの安田純平氏(41)が消息を絶ってから半年が経過し、安田氏が反政府グループに拘束されているとの見方が出てきた。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が安田氏の救出を求めて出した声明の中で明らかにした。
ただ、2015年7月末時点で「拘束されたことについては、政府として確認していない」としていた日本政府は、今でも拘束の事実を把握しているかについても明らかにしないまま。声明の信ぴょう性を疑う声もあり、情報は錯そうしている。
7月にはCNNが「拘束説」報じていた
安田氏のツイッターは6月20日に、
「これまでの取材では場所は伏せつつ現場からブログやツイッターで現状を書いていたが、取材への妨害が本当に洒落にならないレベルになってきているので、今後は難しいかなと思っている」
と書き込んだのを最後に更新が途絶えており、7月上旬になって拘束されたという情報が浮上。菅義偉官房長官は7月9日の会見で、
「邦人ジャーナリストが拘束されているという情報には接していない」
と述べた。7月16日にはCNNが「安田氏はイスラム過激派に拘束された可能性が高い」とする友人の声を報じたが、菅氏はその後の7月31日の会見でも、
「そうした報道があることは承知している。政府としては、ありとあらゆる情報網を関係方面に駆使しながら情報収集に努めている」
「拘束されたことについては、政府として確認していない」
と述べ、事態を把握できていないことを明かしていた。
それから5か月が経過した12月22日、RSFが「日本政府は、安田純平氏の解放を勝ち取るために尽力すべき」だとする声明を発表した。声明によると、RSFは12月21日、安田氏を拘束しているグループが
「身代金の支払いを求めてカウントダウンを始めており、支払われなければ処刑か他のテロリストグループに売り飛ばすと脅迫している」
という情報を得たという。声明では、安田氏が、
「7月初旬にシリア国境を越え、その数時間後にヌスラ戦線の支配地域で武装グループに誘拐された」
とも説明している。ヌスラ戦線はシリアで活動している反政府武装組織で、過激派組織「イスラム国」(IS)とは対立関係にあるとされる。