近藤誠氏の川島なお美さん「個人情報」公開 「死後は守秘義務の対象でない」に医師の反応は

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   2015年9月に女優・川島なお美さん(享年54)が胆管がんで亡くなった直後、「がん放置療法」で知られる医師・近藤誠氏が、文藝春秋11月号に「川島さんはもっと生きられた」と題するインタビュー記事を載せ、川島さんが2年前にセカンドオピニオンで訪れた経緯を公表、治療にあたった医師らを痛烈に批判した。

   ネット上では「たとえ有名人とはいえ、医師が患者の個人情報を流していいのか」という疑問の声が上がっていた。

  • 若くして亡くなった川島なお美さん
    若くして亡くなった川島なお美さん
  • 若くして亡くなった川島なお美さん

「リスボン宣言」では「患者の死後も秘密を守らなければならない」

   この問題について、医師らの会員制サイト「m3.com」のニュースサイト「医療維新」が2015年12月、「女優・川島なお美氏とのやり取りを公開した近藤誠氏、許される?」という医師らに向けたアンケート調査の結果を発表した。「許される」と答えたのはわずか3%ほどで、7割が「許されない」と答え、「売名行為のために有名人の死を利用している」「医師の風上にも置けない人」という厳しい声が圧倒的だった。

   刑法134条では医療関係者の守秘義務を定めているが、患者側の告訴が条件になっており、患者が死亡した場合は罪に問うのが難しいのが現実だ。そこで医療関係者の「倫理」が重要になる。1981年に世界医師会総会で採択された「患者の権利に関するリスボン宣言」では、「患者の死後も(子孫以外には)秘密を守らなければならない」と医師に求めている。

   守秘義務に関して近藤氏は、文藝春秋のインタビューの中で、「(公表するのに)ためらいがある」と言いつつ、「法律上、亡くなった方は守秘義務の対象でなくなります」と述べ、川島さんの病状の相談内容はもちろん、訪れた時の様子を「白っぽいフェミニンなワンピースで、つばの広いオシャレな帽子をかぶっておられ、さすがに女優さんだな、と思いました」と細かいところまで喋っている。

   アンケート調査に答えたのは、会員の医療関係者1962人で、うち医師が1622人(82.7%)だ。「今回の近藤氏の言動は、許されると思いますか?」との問いに、回答は「許される」(3.3%)、「許されない」(69.0%)、「わからない」(8.2%)、「内容を知らないので答えられない」(19.6%)だった。

従来の賛同者も「プロ医師の思考ではなくなった」

   自由に意見を書く個別回答では、肯定的だったのは「意見を述べることに、制限はないと思う」という1件だけ。あとは批判のラッシュだ。

「女優が亡くなった直後の精神的苦痛に配慮して、ご主人に相談したのだろうかと気になります」
「家族や患者への思いやりがない。医学の発展のためなら理解できるが、本人の金儲けのために人の人生を批判するのはどうかと思う」
「(川島さんが)死亡したという結果のみを根拠に持論を主張するのは卑怯だ」
「(川島さんを)直接担当した医師も沈黙せず意見を公表すべきだ」
「進行性のがんについて、(セカンドオピニオンで聞いた)2年も前の情報が必要とされるのか疑問だ」
「ヒポクラテスの誓いしかり。特に、リスボン宣言では論文の際も(患者のプライバシーを守る)倫理に基づいているか必ずチェックされます。近藤氏が医学博士を取得した時代は、あまり言われなかったのでしょうか」

   従来からの賛同者からも異論の声が上がった。

「患者が納得できない説明が多すぎるので、近藤さんのような人が登場するのでしょう。昔は学ぶべきことも言っておられましたが、現状では、医師としてプロの思考ではなくなっていますね」
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