共同通信や加盟社の地方紙の記事が載っているウェブサイト「47NEWS」に、2015年12月から変化が起きている。
一般的には、ニュースサイトではトップページの見出しをクリックすれば、同じサイトの中に記事本文も表示される。ところが、47NEWSでは、記事本文は見知らぬドメイン(インターネット上の住所)に表示され、そのドメインのトップページは「空っぽ」に等しい状態だ。どういった狙いがあるのだろうか。
47NEWSサイト内はリード部分のみ表示
47NEWSは共同通信社や加盟社など47新聞社が共同出資した「全国新聞ネット」が運営し、06年12月に開設。出資した新聞社が配信する記事を掲載してきた。これまでは、47NEWSのトップページの見出しをクリックすると、記事本文も47NEWSのドメイン「47news.jp」に表示されていた。だが、15年12月からは、47NEWSのサイト内には記事のリード部分しか表示されないようになった。現在はリード部分の最後に「記事全文」へのリンクが表示され、リンクをクリックすると「this.kiji.is」という見慣れないドメインで記事本文が表示されるようになっている。
この「this.kiji.is」というサイトのトップページを表示しようとすると、「トップページはない。代わりの自分のトップページを選んでほしい」という意味の英文(We have no top. Choose "your top" instead.)が表示され、スマートニュース、47NEWS、ツイッターの共同通信オフィシャルアカウントの3つのリンクが表示される。それ以外には何も書かれていない。
スマートニュースから読者を誘導するため?
12月2日に共同通信が配信した記事によると、この「this.kiji.is」のサイトは共同通信のグループ会社とヤフーの合弁会社「ノアドット」が運営している。正確には、「ノアドット」は一般社団法人共同通信社の100%子会社、共同通信デジタルが51%、ヤフーが49%出資している。前出の記事では、新サイトのことを
「ノアドット社が共同通信と参加加盟新聞社などが提供するコンテンツを一括管理し、その記事の見出しを広くネットメディアに公開。一般ユーザーが見出しをクリックすると、ノアドット社が管理するシステム上で記事や写真を閲覧できる」
とうたっている。
具体的には、スマートニュースがノアドットの見出しを使えるようになり、スマートニュースから読者をノアドットに誘導することで広告収入を増やす狙いがあるように読める。
しかし、現時点ではスマートニュースのトップページに「ノアドット」が目立って表示されるということもなく、前出のようにトップページがないため新着記事を一覧することもできない。「何がどこにあるか分からない」という「不思議なニュースサイト」になっている。