【ためしてガッテン】(NHK)2015年11月11日放送
「血管守れ!動脈硬化を見抜く夢ワザ3連発」
冒頭のナレーション――。「あ~食った、食った。眠い~」とお腹を抱えながら横になる子ども。食後に眠気に襲われ、ついウトウトしてしまうことは誰にあるだろう。実はソレ、恐ろしい動脈硬化の前兆かもしれないのだ。
MCの立川志の輔「食後の眠気ほど、幸せなモノはないですよね~」
レギュラーの山瀬まみ「私なんか、食べている途中から眠っちゃいます」
気づいたら箸を持ったまま眠ていた人、アブナイ
MCの小野文恵アナが、そもそも食べた後になぜ眠くなるのか、パネルを出してメカニズムを説明する。
小野「私たちがご飯を食べると、食べ物を消化しようと胃腸に血液が集まってきます。すると脳の血液が少なくなり、眠くなるのです。でも、脳の血液が足りなくなると困りますね。そこで活躍するのが頸動脈にあるセンサー。『頸動脈洞(けいどうみゃくどう)』と言います。この頸動脈洞クンが脳から首へ降りてくる血流の血圧をチェック、下がり過ぎると『こりゃ大変だ、血液が足りないよ~!』と心臓に連絡してくれるのです」
ゲストの渡辺えり「へえ~、頸動脈洞クン、働き者なんだ~」
小野「そうなんです。頸動脈洞クンから連絡を受けた心臓が急いで拍動を開始。ポンプで脳に血液を送り、脳が回復して眠気がなくなります。下がっていた血圧も元に戻ります。ところが、この頸動脈洞クンが働かなくなって、食後にとんでもない眠気に襲われる人がいます」
そんな強烈な眠気に悩む5人の男女が登場。「10分ほど寝ていたようですが、まったく覚えていません」「気づいたら箸を持ったままテーブルに突っ伏していました」と眠気の凄まじさを告白。まさに「時が飛ぶような眠り」だ。5人に血液検査をしてもらうと、4人が動脈硬化。その4人の食後の血圧を測ると、上の血圧が食前より20下がっていた。
4人を診断した自治医科大学の苅尾七臣医師が説明する。
「健康な人は、頸動脈洞が脳に血液が行くよう見守るので、血圧が食前と食後では変わりません。ストンと意識を失う眠気がして食後の血圧が下がる人は、動脈硬化の可能性がありますから、専門の医師に診てもらってください」
MCの立川「なぜ、センサーの頸動脈洞クンが働かなくなるのですか?」
苅尾医師「頸動脈洞は血管の壁にあります。動脈硬化で血管の壁に老廃物がたまり、頸動脈洞を覆ってしまうので、センサーが動かなくなるからです」
お腹から「ビュ~ン」という音が聞こえる人、アブナイ
MCの立川「なるほど。『時が飛ぶような眠気』が動脈硬化発見の第1の夢ワザになるわけですな。さて、第2の夢ワザが体の中から聞こえる、この音です」
スタジオ内に「ビュ~ン」「ビュ~ン」と木枯らしのような音が響く。
ゲスト一同「(けげんな顔)......」
ここで映像が流れる。北関東循環器病院の熊倉久夫医師が、ベッドで横たわる患者のお腹に検査器を当てて、この音を聞いている。患者の腎臓部分から音が出ているのだ。患者は腎臓の動脈硬化「腎動脈狭窄症」の人だ。
熊倉医師「検査器を使わなくても、よ~く耳を澄ますと、みなさんのお腹から聞こえてくることがあります。グ~グ~と荒い吐息のような音です」
ゲストの辰巳琢郎「お腹がすいてグ~グ~鳴る音ですか?」
MCの小野「腎動脈狭窄症は、降圧剤を飲んでもなかなか血圧が下がらない病気です。腎臓には腎動脈が走っていますが、血管の壁が動脈硬化で狭くなると、ホースを押さえて狭くすると水が勢いよくピュ~ッと飛び出すように、血流がスピードアップします。血液が血管内を猛スピードで流れている音です」
山瀬「危ないんですか?」
小野「非常に危険です。腎臓は尿をつくる頑張り屋さんです。腎動脈が詰まると血液が腎臓に来ないので、『大変だ~』とレニンという血圧を上げる物質をどんどんまき散らして、何とか血流を上げようとします。全身の血圧があがってしまいますが、腎動脈は細いままなので、腎臓はレニンを出し続けます。やがて血管に負担がかかりボロボロになってしまいます」
アキレス腱をつまんで太い人、アブナイ
MCの立川「薬を飲んでも高血圧が下がらず、お腹から異音が聞こえる場合が、腎臓の動脈硬化のサインというわけですね。治療法はあるのですか?」
国立病院機構京都医療センターの成瀬光栄医師が答える。
「薬物治療でレニンの作用を弱めることができます。また、ステントと呼ばれる器具を血管内に挿入して拡張し、血流を回復する手術もあります」
立川「(竹製の物差しを見せ)3番目の夢ワザはどの家庭にもあるコレです」
スタッフがオランダに飛び、動脈硬化と心臓病の専門医、ベン・インホルズ博士を訪ねる。博士は患者の足首のアキレス腱を指でつまみ、その太さを物差しで測る。アキレス腱は横から見ると「くぼみ」があるが、後ろに膨らんで厚みが2センチ以上ある人は要注意だというのだ。
インホルズ博士「心臓病を起こす危険の高い人はアキレス腱が太くなり、盛り上がります。アキレス腱は常に酷使されている器官で痛みやすい。痛む部分には、細胞組織を補修するためにコレステロールが付着しやすくなります。コレステロール値の高い人ほどアキレス腱に貯まるのです」
現在、オランダではこの簡単な方法で動脈硬化を見つけることが「常識」になっており、心血管症の死亡率を半減するのに成功したという。
立川「体のちょっとした箇所に怖い病気のサインがあるんですね」
小野「そこで本日はこうまとめました。『サインは部位(V)』」