中国人観光客の海外でのマナーを向上させようと、中国政府は問題行動を起こした中国人を「ブラックリスト」にして実名を公開するという強硬策を展開している。そのブラックリストに、初めて日本での事例が登録された。札幌のコンビニ店員に暴力行為を働いたという内容だ。
ブラックリストには、これ以外にも8件15人が登録されており、ガイドや飛行機の客室乗務員(CA)に対する暴力行為が問題化することが多いようだ。その様子がソーシャルメディアで拡散されて騒ぎになることもあり、中国政府としては、こういった中国人の悪評が広がることを警戒しているようだ。
妻がコンビニ店員に注意されたことに「逆上」
ブラックリストは「不文明行為記録」と呼ばれ、中国国家観光局のウェブサイトに掲載されている。2015年3月に運用が始まり、これまで6件11人が登録されていたが、12月16日に新たに3件5人を登録。その中に日本での事例も含まれている。
日本での事例では、上海の男性がリストに登録された。9月26日22時頃、滞在先の札幌市内のホテル近くのコンビニで、男性の妻が会計前に食べ物を開封したため、店員がそれを制止し、店の外に出るように求めた。男性は店員が妻を侮辱したと感じ、店員を殴って顔や鼻を負傷させた。直後に通報で警察官がかけつけ、夫婦は現行犯で逮捕された。日本側の報道によると、2人はその後不起訴処分になり、釈放されている。
多いのが航空機をめぐる事例だ。14年12月11日、バンコクのドンムアン空港発中国の南京空港行きのタイ・エアアジアFD9101便で、安徽省の女性が口論の末にCAに熱湯をかけるなどした。この女性以外にも、口論に加勢した男性がブラックリスト入りした。
2015年1月10日には、雲南省の昆明から北京に向かうことになっていた中国東方航空のMU2036便で、北京の男性が非常ドアを無理やり開けた。男性は安全阻害行為を理由に15日間身柄を拘束された。
カンボジアのアンコール・ワット観光からの帰路でもトラブルが起きた。10月14日のシェムリアップ発成都行きのカンボジア・アンコール航空K6989便で、四川省からツアーに参加していた女性が搭乗後に座席を後ろに倒した。その後ろの座席に座っていた乗客が注意しようとしたところ、手が誤って女性の髪に触れてしまった。女性はこれに激高して口論に発展。同行者2人もこれに加勢し、機内は大混乱に陥った。その結果、機長は安全上の理由から3人に対して飛行機から降りるように命じ、約1時間出発が遅れた。