現ナマ200万円を野坂さんに渡した相手
まず、現地を歩いて様子を探りたい。連れて行ってくれ。それを連載コラムに書く。冒頭の目撃談はその時のことだ。親しい越山会幹部2人を旅館に呼んで、野坂さんに引き合わせた。町の芸者3人を呼んで、大いに話は弾む。角栄信奉者の2人は、雪国政治の難しさを主張して譲らない。「ぼくが立候補したらどうします」と2人に迫っても、先生、そんなに甘いものじゃない、と笑っている。酒に酔った冗談でしょうと言っているうちに、ハプニングは起きた。
野坂さんは芸者に「部屋にレインコートがある」と持ってこさせた。そのポケットから出したのが200万円の新聞包みだった。
選挙結果は元首相の22万票に対して、野坂さんは2万8000票、次点、泡沫ではなかった。元首相の生誕地、西山町では217票で2位。批判票を食った。
この話は後日、大きくなって、週刊誌の記者が野坂さんを連れて行き、新聞紙の金は数百万円、芸者は総揚げの20数人だったとか週刊誌などに書かれた。
野坂さんに新聞包みの現金の話を聞いた。たまたま新潟に行く直前、参議院議員会館の事務所に貸していた200万円を返しに来た人がいた。それは、当時、同じく参院議員の青島幸男氏だったと。
J-CASTニュース発行人 蜷川真夫