月経前に始まるイライラや腹痛、頭痛、睡眠不足......。女性の多くが月経前症候群(PMS)に悩んでいるが、症状が重い女性ほど高血圧になりやすいというショッキングな研究が米の大学から発表された。
PMSに悩む女性は、日本では約1300万人いるといわれる。月経のある女性人口(15~49歳)約2650万人の半数、2人に1人にあたる。米の専門医の間でも「女性の不安をあおる」という声があがっている。
PMSが重くても、ビタミンB1・B2を食べていれば大丈夫
米マサチューセッツ大学のエリザベス・ジョンソン教授らの研究チームが、米の医学誌「AJE」(電子版)の2015年11月24日号に発表した。
ジョンソン教授らは、1991~2005年までに症状が中・重度のPMSの患者1257人と、軽い症状の2463人を2011年まで追跡調査した。その結果、中・重度のPMSの人は、症状が軽い人やまったくない人に比べて、高血圧を発症するリスクが40%高いことがわかった。このリスクは、肥満や喫煙、運動不足、ピルの使用、家族歴などの危険要素を考慮しても残ったという。
特に、40歳以下の女性では影響が強く、中・重度のPMSの人が高血圧を発症するリスクは、軽い人や症状なしの人に比べて3倍になった。
研究では、食生活との関連も調べたが、ビタミンB1(チアミン)やB2(リボフラピン)を多く摂(と)っている女性は、たとえPMSが重くても高血圧になりにくいことがわかった。
チアミンが多い食べ物は、玄米や小麦胚芽、レバー、豚肉、ブロッコリーなど。リボフラビンは、緑黄色野菜や魚、鶏肉、乳製品に多く含まれている。
ジョンソン教授は、論文の中でPMSが重いとなぜ高血圧の危険がたかまるかは明らかにしなかったが、「普段からPMSが重い人は、血圧に気をつけて」と呼びかけている。